【Androidニュースのまとめ】 2010年12月12日 - 2010年12月18日

2010年12月12日から18日までのAndroidニュースのまとめをお伝えしたい。

まず、今週もAndroid業界では様々な動きや発表があった。特に新製品の発売とGoogleからのいくつかの発表は注目すべきものばかりだった。新製品でいえば米国で16日からGoogleブランドの最新スマートフォン「Nexus S」が発売になったことが大きな話題だろう。Nexus SはGoogleにとって「Nexus」シリーズの2代目にあたるスマートフォンで、製造は韓国のサムスン電子が手掛けている。基本的なハードウェア仕様は同社のフラッグシップモデル「GALAXY S」とそう変わりないが、搭載OSが違う。Nexus Sは世界初のAndroid 2.3(開発コード:Gingerbread)搭載スマートフォンになる。

新製品の発表と発売


(画像:左からNexus S、REGZA Phone T-01C、GALAPAGOS 003SH、HTC Aria)

Android 2.3は正式発表から間もなく、未だに搭載スマートフォンはNexus S以外にない。この点がNexus S最大の魅力であり、大きな特長だ。Android2.3は数字上は前バージョンであるAndroid 2.2(開発コード:Froyo)からのマイナーバージョンアップに見えるが、実際には多数の改善点や新機能がみられる。アプリの動作速度改善、VP8/WebM動画のサポート、VoIP/SIPやNFCへの対応などだ。特にFeliCaの上位規格でもある近接無線技術規格NFCのサポートは注目を集めている。

また、Nexus Sに引けを取らないほどの注目を集めた最新スマートフォンが韓国LG電子から発表されている。2011年1月に発売予定の「Optimus 2X」だ。この端末は世界初のデュアルコア・プロセッサ搭載Androidスマートフォンになる。NVIDIA Tegra 2を載せたAndroidスマートフォンは初めてのことで、2011年1月の登場が待ち遠しい。現在市場に出ているハイスペックAndroidスマートフォンはシングルコアの1GHzプロセッサを搭載している端末が多く、このCPUでも十分に速いはずだが、Flashコンテンツが掲載されたウェブページを閲覧した場合などには力不足を感じるのが現状だ。しかし、Optimus 2Xはこれまでのハイスペック端末とは比べ物にならない快適性を与えてくれるかもしれない。

そして忘れてはならないのが、国内で17日に発売された3つのAndroidスマートフォンだ。NTTドコモからは富士通東芝製の「REGZA Phone T-01C」が、ソフトバンクモバイルからはシャープ製の「GALAPAGOS 003SH」が、イー・モバイルからはHTC製の「HTC Aria」がリリースされた。いずれの端末も前評判が高く、話題の新製品だ。特にREGZA Phone T-01Cはタッチパネルの操作性・レスポンスがよく、ホットモックを触ったユーザーからの口コミも好評価が多い。その影響もあり、事前人気が非常に高く、ヒット商品になる可能性を秘めている。GALAPAGOS 003SHも裸眼立体視のできる3Dスマートフォンとして、NTTドコモ向けの「LYNX 3D SH-03C」と同様の素晴らしいローンチを切るかもしれない。

LYNX 3D SH-03Cは市場調査会社Gfk Japan調べによるケータイ販売台数ランキングで初登場週に2位、翌週に1位に立つ好スタートを切っている。また、興味深いことに前週のケータイ販売台数ランキングのトップ5はiPhone 4も含めたスマートフォンで占められている。おそらく今後、REGZA Phone T-01CとGALAPAGOS 003SHもランクインするだろう。さらにイー・モバイルからAndroidスマートフォンが発売されることも話題の一つだ。同社はHTC Ariaに続く2機種目のAndroidスマートフォンも発表している。中国Huawei製の「Pocket WiFi S」だ。この端末はHuaweiのIDEOSベースのスマートフォンだが、イー・モバイルは付加価値のあるモバイルWi-Fiルーターとして販売する。

Googleの各種発表

次に大きな話題はGoogle発のものになる。同社はこの週にいくつかの驚くべき発表を行った。箇条書きで記すと次の通りだ。

a. Android Marketの有料アプリ返品期限の短縮。24時間以内から15分以内へ変更
b. Android Marketのアップデート
c. Googleマップの大幅な機能改善
d. Androidアプリをプログラミング知識不要で作成できる「App Inventor」のオープンβリリース

aとbに関しては同じ発表声明に書かれていた内容を分けて書き出したものになる。aはインパクトの大きな変更なので、これだけをピックアップしている。従来はAndroid Market上の有料アプリは24時間以内であれば返品が可能だった。しかし、近いうちに15分以内へ短縮されてしまう。これはGoogleによればアプリ開発者/パブリッシャーのビジネスを支援するための措置になる。というのも、例えばゲームアプリなどの場合、有料アプリにも関わらず”遊び尽くした上で返品する”という例が世界的に多発していたからだ。これではアプリ開発者は収益を上げられないばかりか、コストを回収することすらままならない。そこでGoogleは返品期限を短縮し、有料アプリを徹底的に遊び尽くすことを時間的に不可能にしたわけだ。もちろんこの措置はユーザー視点で考えれば迷惑な話になる。ゲームならまだしも、ツール系のアプリやビジネス向けアプリなどは僅か10分弱の時間ではその機能をチェックし切れないだろう。今後はそういったアプリの場合、開発者側が別途トライアル版のアプリを用意するなどの対処が必要になってきそうだ。

そして、この話以外にもAndroid Market周りの刷新が行われる。一つはクライアントのデザインやアプリ・カテゴリの見直しだ。この変更は順次展開されており、すでに新しいAndroid Marketを利用している方も多いだろう。デザインが洗練され、情報が見やすくなっただけでも単純に嬉しいアップデートだ。また、もう一つ大きな改善がアプリのファイルサイズの上限アップだ。今後はアプリのファイル(拡張子apk)の上限サイズが50MBにまで引き上げられる。これにより、これまで以上にリッチなグラフィックを使ったゲームアプリが登場するものと期待されている。

加えてこの週、GoogleはAndroidユーザーが日常的に使う頻度の高い有力アプリの大規模な改善を投入した。Googleマップ 5.0だ。Googleマップは4.7から5.0へのバージョンアップで見た目も中身も大きく変わった。これまでは各スケール別に用意されたビットマップ・データを読み込みながら地図を表示させていたので、スクロールやズーム操作の際の描画速度を速くできなかった。しかし、バージョン5.0からビットマップ・データを止め、ベクタデータに切り替えられた。これによりデータ量を70分の1程度にまで削減でき、描画速度が大幅に改善された。さらにこの変更のおかげでオフライン・キャッシュ機能の強化が図られ、ネットワークの状態が悪いときでもある程度Googleマップを使えるようになった。その上、建物の3D表示にも対応した。これは見た目上の大きな変化になる。3Dデータのない建物は対象外だが、データがあるものは3Dで表示され、バードビュースタイルで地図を閲覧することができる。

最後にApp Inventorを紹介したい。これもAndroid市場拡充に向けた施策の一つで、プログラミング知識のない方でも簡単にアプリを作ることのできるツールの提供になる。App Inventorを使えば誰でも簡単にパーツを組み立てるだけでアプリを作ることができる。しかも、ウェブアプリケーションなのでブラウザだけで作業が完結する。アプリ作成に関心のある方は、ぜひこの機会に試してみて欲しい。

この週、実際には他にも様々な話題があり全てを紹介したいところだが、全部書くと膨大な量になってしまうのでこの辺りにしておきたいと思う。しかし、1点最後に付け加えておくと、KDDIの動きが活発だ。KDDIはauスマートフォン「IS03」を発売してからというもの、毎週何らかの提携やサービス、アプリなどを発表しており、Androidへの注力ぶりが傍目にも明らかだ。この週もGrouponとの提携、台湾の音楽配信企業KKBOXの株式取得、LISMO Portのアップデートなどが発表されている。同社の動きは国内Android市場においても喜ばしい話だろう。

なお、この記事は今回からオクトバでニュースのまとめ記事を書かせて頂くことになったGaApps(ガアップス)がお伝えしました。今後も宜しくお願いします!