1月15日からの1週間のニュースをまとめてお伝えしたい。今週も様々な話題が飛び交った。
Android端末の新製品情報、アプリやサービスのリリース、関連企業の新たな動き、そして米Googleの体制変更など実に多くのニュースがあった。今回もいつものようにいくつかのテーマごとに紹介していきたい。
【Googleの体制変更】
Googleは米国時間20日、2010年第4四半期の決算発表を行った。依然として好調で過去最高益を記録している。しかし、注目したいのは業績よりも同社が同時に明かした経営体制の変更に関することだ。会長兼最高経営責任者(CEO)を務めてきたエリック・シュミット氏がCEOから退く。後任には初代CEOのラリー・ペイジ氏が就任する。ペイジ氏は2001年前半までCEOとしてGoogleを率いてきたものの、その後は米NovellのCEOを務めていたシュミット氏にバトンタッチした。シュミット氏がCEOに就任してからのGoogleは、ビジネス面で大きな飛躍をみせ今日のポジションを築くに至った。シュミット氏の経営手腕を高く評価する声は多く、それだけに退任後のGoogleの経営を懸念する意見もある。が、今後も共同創業者であるペイジ氏、サーゲイ・ブリン氏らと3人で戦略に携わる構図に変わりはない。今後の成長を不安視する必要はなさそうだ。
(左から、エリック・シュミット氏、ラリー・ペイジ氏、サーゲイ・ブリン氏)
【NTTドコモ、ソフトバンクモバイルの動き】
先週の記事ではKDDIの動きをお伝えしたが、今週はNTTドコモ、ソフトバンクモバイルの話を紹介したい。
まずNTTドコモだが、数多くの発表があった。端末面では「Xperia」への機能アップデートの提供、「LYNX 3D SH-03C」へのソフトウェア更新の発表があった。前者はXperiaでマルチタッチが可能になるという嬉しいアップデートだ。Xperiaはハードウェアの制約のためマルチタッチが不可能とされてきたが、ソニー・エリクソンはソフトウェア側の処理で擬似的に実現させることに成功した。全てのアプリケーションで正常動作するわけではないが、一部のアプリでは2本指を使ったピンチ操作によるズーム処理などが可能になる。
(左:ピンチイン操作。指の間隔を狭めて表示を縮小する。右:ピンチアウト操作。指の間隔を広げて表示を拡大する。)
LYNX 3D SH-03Cの件は不具合対策だ。一部の緑色のFOMAカードを利用しているユーザーの場合、緊急通報番号「110」「118」「119」に発信できないことがある、という不具合を解消するアップデートになる。加えて、スリープ後に復帰できない場合があるという問題も改善される。しかし、厄介なことにソフトウェア更新適用後に新たな不具合が生じる可能性が告知されている。これについては後日別途対策が打たれる予定だが、それまでの間「Android Market」及び「ドコモマーケット」から一部のアプリのダウンロード/インストールができなくなる場合があるという。
次に紹介したいのはNTTドコモと韓国のKT、中国の中国移動(China Mobile)、3社による事業協力の発表だ。KT、中国移動はともにそれぞれの国の巨大通信キャリア。3社は今回の提携により、国際ローミング、法人向けサービス、LTEなどの通信技術、スマートフォン、サービスプラットフォームの共通化などの分野で協力していくことになる。特に通信技術、サービスプラットフォームの共通化などはユーザー視点でみても大きな効果が期待できそうだ。関連サービスを手がける事業者のビジネス展開においても、それらを利用する立場のユーザーとしても享受できるものは多いだろう。
そして、ソフトバンクモバイルがNFCの実証実験を開始した。NFC(Near Field Communication)は近距離無線通信規格のことで、FeliCaなどの上位規格にあたる。日本ではFeliCaが普及しているので、近距離無線通信といっても目新しい技術には感じにくい。しかし、今後のAndroidスマートフォンにおいては要注目の技術分野になる。Android 2.3(開発コード「Gingerbread」)からサポートされることもあり、おそらく2011年に海外でリリースされる端末の多くがNFCのチップを搭載するだろう。
ソフトバンクモバイルもNFCを使ったサービスの実用化に向けて動き出した。オリコ、クレディセゾン、ジェムアルト、共同印刷、マスターカード・ワールドワイド、HTC、Trusted Logic社らと協力して実証実験を開始した。実験用の端末にはNFC関連のAPIを実装した「HTC Desire X06HTII」の改造機が用いられる。FliCaが普及しきった日本だが、今後NFCサービスがどのように展開されるのか注目していきたい。
(参考イメージ:ソフトバンクプレスリリースより)
【セキュリティツール】
Androidスマートフォンにおけるセキュリティツールアプリが2つ新たに登場した。1つ目はトレンドマイクロの「Trend Micro Mobile Security for Android」(以下、TMMS)だ。マルウェアから端末を守ることができるツールで、最初の30日間は無料で利用できる。無料期間終了後は年間3.99ドルの費用がかかる。これまでのところ、国内でマルウェアによる大規模な被害が報告された例はないが、今後についてはわからない。セキュリティツールを入れておくのも悪くないだろう。
2つ目は「InfoProtector」。これはマルウェア対策ツールではなく、端末紛失時などに威力を発揮するものだ。端末を遠隔ロックしたり、データの消去などができる。価格は無料。動作要件はAndroid 2.2以上。要件の厳しさから国内で対応できる端末は少ないものの、対象機種を持っている方は試してみてほしい。SIMカードが入れ替わった時にアラートメールを送信する機能やパスワードの有効期限設定なども可能だ。
(左:Trend Micro Mobile Security for Android、右:InfoProtector)
ちなみにセキュリティツールはキャリア提供サービスも含めて複数あるので、この機会にぜひ調べてみてほしい。
【その他の話題】
他にもいくつかの興味深い話題があったが、最後に京セラのニュースを簡単に紹介したい。同社は年内に国内市場向けにAndroidスマートフォンを投入する意向を示している。京セラといえば昨年米国向けにリリースした「Zio」が思い出されるが、すでにAndroid端末の開発実績があるだけに国内向けモデルにも期待できるだろう。ワンセグ、赤外線通信など国内ケータイの定番機能が盛り込まれる可能性もあるという。
GAPSISのGaAppsがお伝えしました。来週もお楽しみに!