【Androidニュースのまとめ】 2011年1月29日 - 2011年2月4日

今週は米Googleから注目すべき話題が4点発表されたので、その内容を中心にまとめてお伝えしたいと思う。

本題に入る前に、それ以外の話題についても軽く触れておく。電子マネー関係で2件ニュースがあった。ビットワレットが「Edy」、NTTドコモが「iD」のアプリをそれぞれリリースした。おサイフケータイ搭載スマートフォンの利便性も少しずつ増してきた。

また、2010年第3四半期(10月~12月)の世界スマートフォン出荷台数の調査レポートが調査会社Canalysから発表された。それよれば、Android搭載スマートフォンの出荷台数は約3,330万台で、初めてトップに立った。シェアは32.9%。2位はNokia(Symbian)の3,100万台、3位はApple(iPhone)で1,620万台、4位はResearch In Motion(BlackBerry)で1,460万台、5位はMicrosoft(Windows Phone)で310万台となった。

それでは本題に入りたい。Googleは現地時間2日、カリフォルニア州マウンテンビューの本社でプレスカンファレンスを開催し、Android 3.0(開発コード「Honeycomb」)の詳細及びAndroidのエコシステム周りに関する新情報を公開した。イベントを収めた動画(52:55)を下に掲載したので、関心のある方は確認して欲しい。

以下、彼らが披露した内容を話題別に紹介していきたい。

【Android 3.0(Honeycomb)】

 

Android 3.0は1月上旬に米ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2011」で搭載タブレットと共に簡単にお披露目済みであることから、新鮮味のある話題ではないかもしれない。プレビュー版SDKも先日リリース済みで機能概要はすっかり知れ渡っているが軽く紹介しておきたい。

最大の特徴はタブレット向けに作りこまれたUI。横並びで複数のウィジェットを表示させることができたり、一部のアプリで2ペイン構成が採られたりと、広いスクリーンを快適に使えるようにUIが一新された。通知バーやメニュー周りも従来のAndroidのそれとは大きく異なる。例えば、通知エリアは右下に移った。これまでは上だ。新着通知が来ると、短い時間その内容が画面右下に表示され、少しすると消える。もちろん消えた後でも、引き出して再確認することができる。
 
(左:新着通知の表示、右:通知履歴を表示)

さらに、Gmail、YouTubeなどのGoogle製アプリのUIも変わった。デスクトップ用Gmailなどと同様に2ペイン構成が採用され、左側にメニュー類が表示されるようになった。右側がメイン画面で、メールの一覧や内容を確認することができる。YouTubeも広い画面を存分に使い、動画のサムネイルを画面いっぱいに表示させることができる。また、ついにビデオチャットも利用できるようになった。
 
(左:コンタクトリスト、右:ビデオチャット)

このあたりの変化は英語がわからなくとも上に掲載した動画でしっかり確認できるので、ご自身の目で確かめてみて欲しい。

【ウェブブラウザ版のAndroid Market】

 
(左:ウェブ版Android Marketのトップページ、右:ログイン画面)

これはパソコンなどのウェブブラウザからアクセス、利用できるもので、アプリの検索、情報チェック、購入、スマートフォンなどのAndroid搭載端末へのアプリのインストール、購入済み/インストール済みアプリの管理機能などが提供される。特に快適な機能が、Android搭載端末へのアプリの遠隔インストールだ。この機能を使えば、スマートフォンなどの端末に触れることなく、パソコンの操作だけでアプリを端末にインストールすることができる。

この機能を利用するには、ウェブ版Android Marketでもログインしておく必要がある。IDはAndroidスマートフォン/タブレットで使っているものと同じものを入れる。遠隔インストールにスマートフォン側での事前準備などは必要ない。ウェブAndroid Marketにログインし、アプリ情報ページから手順を進めるだけで、自動的にスマートフォンでのアプリのインストールが開始される。ぜひ利用してみて欲しい。
 
(左:アプリのアイコンの右に表示されている「INSTALL」ボタンをクリックすると、インストールの手順がスタートする。右:同アカウントで利用している端末が複数ある場合は、インストール先端末を選択する。)

 
(左:端末を選択後、右下の「INSTALL」ボタンをクリックする。右:インストールの手順が完了。手元のスマートフォンに目を移すと、自動的にアプリのインストールが始まっているはずだ。)

ウェブ版Android Marketではアプリの情報を確認し、レビューを投稿したり、Twitterで共有することもできる。アプリを探すにはカテゴリから追っていく方法と、検索窓にキーワードを入力して行う方法の2つがある。キーワード検索では、有料/無料や、機種などで絞り込むことも可能だ。

【アプリ内課金システム「In-app Billing」の発表】

アプリ内課金システムが正式発表された。機能名は「In-app Billing」。すでに開発者向けにドキュメントが公開され、該当API、サンプルコードの提供も行われている。今後数週間を目処にAndroid Marketクライアントのアップデートが導入され、開発者が実地テストを行える環境が整う予定。その後、今四半期末までに一般公開される。

In-app Billingを利用することで、開発者はアプリの中で有料コンテンツの販売を始めることができる。ネットゲーム、ソーシャルゲームなどで多いが、一般のゲームの中には一部のアイテムを有料販売するものがある。例えば、RPGなどで標準の武器よりも強い武器は有料にするなどだ。今後はGoogleが提供するIn-app Billingを利用して、こういったアプリが手軽に制作できるようになる。収益分配率は有料アプリ販売と同じく、デベロッパー側が7割で、決済にはGoogle Checkoutを利用する。

【Buyer’s Currency】

従来はアプリの開発者がAndroid Marketで有料アプリを販売する場合、価格設定は居住地の通貨によってなされていた。例えば、米国在住の開発者の場合は米ドルでの設定だ。そして、このアプリを米国外のユーザーが購入する場合は為替レートで換算された現地価格が参考情報として提示される。

ここで一つ、米国の開発者が作った0.99ドルのアプリを例に考えてみたい。

このアプリを米国のユーザーが利用する場合には0.99ドルを支払って購入する。日本のユーザーの場合は、為替レートが1ドル=100円のときは参考価格として「約99円」が表示され、実際に支払う額は0.99ドル。金額は米国ユーザーと変わらない。支払い額の点では世界共通で、公平だ。

しかし、アプリの開発者やパブリッシャーがアプリ販売をビジネスとして考えた場合にはもう少し融通できる機能が欲しい。従来のシステムの場合は国別の価格戦略を立てられない。

そこで、Googleは「Buyer’s Currency」の提供を始める。

これにより、開発者は各国の通貨別に価格設定をすることができる。例えば、米国向けには0.99ドル、日本向けには99円など、個別設定が可能になった。きめ細かい価格戦略を立てられるのでビジネス面でメリットがあるはずだ。国別に異なる価格設定をすると支払額の点では不公平な状況になるかもしれないが、各国のマーケットを一緒くたにせず別物と考えたビジネスができるので開発者にとっては重要だ。

0.99ドルや99円のように桁が繰り上がる手前の数字で価格設定したい場合、従来は自分の国に関してはキッチリとした数字で指定できた。しかし、他国・他の通貨に関しては為替レート次第で変動することになってしまう。例えば、本来であれば日本向けに199円で売りたい場合でも、レート次第ではそれを超える価格提示になる可能性がある。そうなったとき、日本の開発者と価格競争することは難しい。他の日本産ライバルアプリが199円で提供されているところに202円などで表示されると、やはり売りにくいだろう。

Buyer’s Currencyの登場によって、開発者は各国別の戦略を立てられるようになるため、有料アプリ市場の活性化に役立つだろう。

【あとがき】

GoogleはAndroidのアプリ市場を活性化させ、大きく成長させるための施策を一挙に投入してきた。今後、コンテンツの拡充が期待できる。Androidのアプリ市場は米AppleのiPhone(iOS)と比較するとまだまだ数・質ともに不足しているが、これからは種類も増えてくるだろう。

今週もAndroid情報サイトGAPSISのGaAppsがお伝えしました。来週もお楽しみに!