7月17日に早稲田大学にて、日本Androidの会主催のイベント「Android Bazaar and Conference 2011 Summer」が開催された。数多くのカンファレンスに加え、関連企業や団体の多彩な展示ブースが設けられ、熱気に溢れた一日となった。
その後も新製品の発表が相次ぎ、Android関連の話題が多い週だったと言える。ソフトバンク向け009SH、008Zやau向けIS11PTなどが今夏発売される。
これらのニュースを中心に先週のAndroidの話題を振り返ろう。
【新製品】
(1) ソフトバンクモバイル向けスマートフォン「AQUOS PHONE THE PREMIUM 009SH」
シャープ製スマートフォン「AQUOS PHONE THE PREMIUM 009SH」が8月中旬以降に発売になる。009SHはこれまでのAQUOS PHONEシリーズと同等クラスの性能を持つスマートフォンだが、「THE PREMIUM」の名を冠するに相応しい高い質感の外観を持つ。本体の背面カバーが「テクスチャー調デザイン」になっており、光の当たり具合で質感が変化する。前面のデザインも背面のデザインと合致するものに統一されている。
ハードウェアの基本的な仕様は、OSがAndroid 2.3、プロセッサはQualcomm MSM8255 1GHz、ディスプレイは裸眼立体視に対応した4.0インチのQHD(960×540)液晶、Wi-FiはIEEE802.11b/g/n、Bluetoothは3.0など。カメラは8メガピクセルのものを背面に1基備える。ワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信、デコレメ、緊急地震速報もサポート。
(2) ソフトバンクモバイル向けスマートフォン「シンプルスマートフォン 008Z」
中国ZTE製スマートフォン「シンプルスマートフォン 008Z」が8月中旬以降に発売される。「シンプルスマートフォン」と銘打たれているように、この端末の特徴は初心者向けのシンプルさにある。フィーチャーフォンからの移行者の中でも、スマートフォンの操作に戸惑いを覚える方などを対象とした端末だ。大きな文字とカラフルなアイコンで構成されたホーム画面や分かりやすいメニューが用意される。これらの配慮は電話やメールなどのアプリにも盛り込まれている。
端末の仕様はOSがAndroid 2.3、プロセッサはQualcomm MSM8255 1GHz、ディスプレイは3.8インチ(800×480)、Wi-FiはIEEE802.11b/g/n、Bluetoothは2.1、カメラは5メガピクセルなど。
(3) auスマートフォン「MIRACH IS11PT」
先に紹介したソフトバンク向け008Zのように、auからもシンプルスマートフォンが登場する。こちらは韓国Pantech製。やはり初心者向けのホーム画面が用意され、フィーチャーフォンからの移行に戸惑う方や、コンピュータ機器の扱いを苦手とする方、高齢者の方などを対象としている。
さらに、外国の方の利用にも適しており、日本語、英語、韓国語、中国語、ポルトガル語でのメニュー表示や文字入力に対応している。
その上、ネットワークもCDMA、GSMに加えて、UMTSをサポートする。その他の特徴としては防水・防塵性能を持つ点が挙げられる。ただし、ワンセグ、おサイフケータイには非対応。緊急地震速報と赤外線通信は利用可。
ハードウェア仕様は、OSがAndroid 2.3、プロセッサはQualcomm MSM8655 1GHz、ディスプレイは3.7インチ液晶(800×480)、カメラは5メガピクセルなど。9月以降に発売される予定。
(4) 三洋電機、新型「eneloop mobile booster」
三洋電機(パナソニック)から大容量・高出力のモバイルバッテリー(モバイル充電器)「eneloop mobile booster」の新モデルが発表された。容量・出力違いで2モデル用意される。5400mAhのバッテリーを備え、最大5V/1.5Aでの出力ができる「KBC-L54D」と、2700mAhのバッテリーを備え、最大5V/1.0Aでの出力ができる「KBC-L27D」だ。どちらも9月8日に発売される予定。
(左図:KBC-L54D、右図:KBC-L27D)
フィーチャーフォンと比較すると連続使用時間の少ないスマートフォンだけに、予備バッテリーやモバイル充電器は必須と言ってもいいアクセサリーだ。中でもeneloop mobile boosterはバッテリー容量が大きいことから、ヘビーユーザーに重宝される存在だ。今回の新モデルでは容量が旧モデル比で約8%増えているので、これまで以上に強力になった。
【Android Bazaar and Conference 2011 Summer】
(1) Androidプラットフォームの成長
通算5回目の開催となったABCだが、今回は90以上のカンファレンス・セッション、70以上のブース出展が行われた。事前参加申込み者数は4,200人を超え、実際の人出も過去最高を記録。主催者である日本Androidの会の会員数も19,000人を突破し、イベント共々素晴らしい成長振りを示している。
大隈講堂で行われた基調講演では、日本Androidの会会長、丸山不二夫氏、総務省大臣官房企画課長を務める谷脇康彦氏のほか、NTTドコモ、KDDI、GREE、GMOインターネット、村上憲郎氏などが登壇した。今回の講演では東日本大震災及び今後の携帯電話市場、ネットワーク/クラウドサービス、Androidプラットフォームに関わることが多く語られた。
当日は米GoogleのAndroid Developer Advocate、Tim Bray氏からのビデオメッセージも紹介された。彼は、Androidプラットフォームの成長具合を具体的な数字をもって明らかにした。
まず、現在の世界中には1億3,500万台ものAndroid端末が存在している。そして、日々55万台の新しい端末がアクティベートされている。加えて、アクティベート数の増加率が毎週4.5%程度の伸びを示している。すなわち、日々のアクティベート数自体が依然として増加の流れにあるということだ。今後も普及ペース自体が伸びていく。
次にAndroid向けアプリだが、これまでに累計で60億回のダウンロードを達成した。最初の10億回に達するまでに要した期間は約20ヶ月間、次の10億までに約5ヶ月間、その次の10億には約3ヶ月掛かっている。こちらも徐々にペースが早くなっており、100億回ダウンロードを達成するのも時間の問題だ。
・参考動画
※Android端末からご覧の方は以下のリンクよりYouTubeアプリを起動してご覧ください。
Tim Bray氏のビデオメッセージ @ABC 2011 Summer
(2) P2P型すれ違い通信機能を持つメッセージ転送・共有・投稿アプリ「Monac」
丸山氏の基調講演の中で、東日本大震災におけるAndroid関連の取り組みの一つとして、非常に注目すべきアプリケーションが紹介された。「Monac」だ。
Monacは、自分の端末がネットワークに繋がらない環境下にあっても、メッセージを周囲の人の端末とP2P型のすれ違い通信で転送・共有することで、ネットワークに繋がっている他の誰かの端末からTwitterに投稿してもらえるアプリだ。災害時などに非常に役に立つアプリとして期待される。
・参考動画
※Android端末からご覧の方は以下のリンクよりYouTubeアプリを起動してご覧ください。
Twitter via NFC P2P
転送・共有に利用できる通信規格はWi-Fi、Bluetooth、NFCで、上の動画でもNFCでメッセージが転送されている。このアプリはAndroid Marketにて無料配信されているので、関心のある方はチェックしてみてほしい。
【その他の話題&あとがき】
既存端末へのソフトウェア更新が5件あります。NTTドコモ向け「AQUOS PHONE SH-12C」と、ソフトバンクモバイル向け「006SH」「007SH」「003Z」、ディズニー・モバイル向け「DM009SH」です。ユーザーの方は忘れずに適用しておきましょう。
ところで今回、私はAndroidニュースサイト「GAPSIS」としてAndroid Bazaar and Conference 2011 Summerにブースを出展し、かつメディアスポンサーとして取材活動も行いましたが、本当に言葉では伝えきれないほどの熱気を感じました。私達のブースが設置されたエリアにも間違いなく数百人は訪れていますし、GAPSISの展示にも多くの方に来て頂けました。次回もおそらく開催されるものと思いますので、Androidのユーザーの方にも大勢参加してほしいです。面白い展示がたくさんあるので、ぜひ!!
GAPSISのGaAppsがお伝えしました。来週もお楽しみに!