Indigogoというクラウドファウンディング9万ドル弱を集めたWhirlscapeが、Android用のIME(キーボード)アプリ『Minuum Keyboard』をGooglePlayで公開しています。
本アプリはベータ版(簡単に言うと完成した「正式版」の一歩手前)にもかかわらず有料(執筆時点で3.99ドル)です。
これは正式版リリース後に”アプリ内課金”などによって追加要素を配布したりするかわりの措置と見られ、最初からフルで利用できるメリットと考えることもできます。
なお、このプロジェクトの支援者たちは利用するために5ドルを支払っているらしく、それに比べれば安価だとの見解もあります。(参考)
今回は、そんなAndroidの「新しいキーボード」について調べてみました。
パソコンのキーボードような配列、いわゆるQWERTY(クワーティと発音します)配列では、アルファベットの数、すなわち26個のキーが3行で並びます。
『Minuum Keyboard』はそれを全て横1行で表示しました。
スゲー…けど打ちにくそう?
実際に使ってみます。
アプリ初回起動時にはこのような画面になります。
中央にはエンドユーザーライセンスとプライバシーポリシーを確認できるURLが貼られており、本アプリがユーザーのプライバシーを収集することが記載されています(非常に真剣に取り組んでおり、ユーザーの明示的な同意なしにプライバシーを収集することがないよう務める旨の記述があります)。
同意できる場合は「I agree」をタップして先に進みましょう。
※IMEの収集するプライバシー情報は結構広いです。具体的なことは次の画像を見るとわかります。
「Enable Minuum」をタップして、このIMEを端末で使えるようにします。
有効化されていない場合は左の画像のようなポップアップが出現し、「Okey」をタップすると本体設定にジャンプします。
「言語と入力」より、「Minuum Keyboard」にチェックを入れると有効化されます。
有効化する際にはこのような注意書きが表示されます。
IME(キーボード)アプリはユーザーが入力した文字列を記憶します。
記憶してどうするのかというと、予測変換の精度向上などに活用されます。
ひと口に「入力した文字」と言っても千差万別、特に重要なのが注意書きにも書かれている「パスワード」や「クレジットカード番号」です。電話番号やメールアドレスっていう場合もあるかと思います。
信用出来ないIMEを使う場合、これらの情報は入力すべきではありません。
どうしても心配な場合は、機密情報の入力時にデフォルトのIMEに戻す癖をつけておきましょう。
有効化したら設定画面に戻って、「Set default keyboard」から使用するIMEを『Minuum Keyboard』に変更します。
ここまで済めば準備完了、最後に「Start typing!」をタップするといよいよ入力に関するチュートリアルを見られます。
先程も登場した画像になりますが、こちらがチュートリアル画面です。
“Sloppy Typing is OK!(訳:ずさんなタイピングでもOK!)”と書かれています(笑)
どういうことかというと、このIMEは予測変換の精度が凄く高いんです。
このように、押したキーの近くにあるキーも含めて単語が予測されるため、多少のタイプミスを気にせず打つことができます。
このように、キーに指をあてるとその部分が拡大表示されます。ここから指を離す前に左右にスライドすることで打ちたい文字を決めることも可能。
更に、左右ではなく上方向にスライドすると数字や記号の入力もできます。
『Minuum Keyboard』と似たような境遇のアプリはいくつかあります。今回はそんな中から、高機能な予測変換を使う部分が共通している『Fleksy Beta』というIMEと比較してみたいと思います。
『Fleksy Beta』について:
こちらもベータ版となりますが、『Minuum Keyboard』と違ってGooglePlayに(そのまま)公開されてはいません。
プロジェクトのGoogle+コミュニティページ(こちら)からフォローし、テスターに参加するとダウンロード用のURLを教えてくれます。
『Fleksy Beta』は「画面を見ずに打てる」がコンセプトとなっており、高い変換精度だけでなくTTSによる”入力文字の読み上げ”なども搭載しており、その気になればキーボードを完全に透明にしても使えるのが魅力です。
というわけで、2種類のキーボードを比べてみた動画が以下になります。
・https://youtu.be/2BvNlVFo0U8|YouTube
MinuumはIMEがスペースをほとんど取らないため画面内に表示された情報を広く参照しながら入力できる強みがありますが、いかんせん慣れない配列のためにキーを探す動作が若干生じます。
一方Fleksyは使い慣れたQWERTY配列であるため打ちやすいのですが、そのせいで油断が生じたのか入力文字を間違えてしまいました(汗
また記号入力時にワンステップ必要(キーボードの切替)だったりと、一長一短です。
この手のIMEが抱える欠点は固有名詞に弱いことだと思います。
例として「octoba」と打ちたい場合、タイプミスをしても変換候補に「octoba」は出現しません。そういう単語をIMEの辞書が知らないためです。
何度も使うことで学習させたり、定型文やマッシュルームなどで不足を補うことである程度カバーすることはできます。
最大の問題点として日本語入力に対応していないため実用性が無いのですが、英語入力を多用する方にとっては優れたIMEであると思います。
実際、どちらのキーボードも右スワイプで「確定+スペースの自動入力」、左スワイプで「単語単位でデリート」という機能を持っており、使いようによってはパソコンで文字を打つよりも素早くなれる可能性を十分に秘めています。
このように発想の斬新さが際立つIMEは他にもいくつかありますので、いずれかが日本語に対応してくれれば国内でも普及されるのではないでしょうか。