オクトバでも昨日紹介したユニクロのスマホでオリジナルデザインのTシャツを作成し注文できるサービス「UTme!」について、その利用規約が厳しいとネット上で話題になっています。
話題になっているのは利用規約の第9条(権利帰属)です。まずはこの部分を引用します。
第9条(権利帰属)
- 当社ウェブサイト及び本サービスに関する知的財産権は全て当社または当社にライセンスを許諾している者に帰属しており、本規約に基づく本サービスの利用許諾は、当社ウェブサイトまたは本サービスに関する当社または当社にライセンスを許諾している者の知的財産権の使用許諾を意味するものではありません。
- ユーザーは、投稿データについて、自らが投稿その他送信することについての適法な権利を有していること、及び投稿データが第三者の権利を侵害していないことについて、当社に対し表明し、保証するものとします。投稿データに、ユーザー以外の第三者が知的財産権を有している以下の各号のいずれかが含まれる場合、必ず事前に権利者の使用許諾が必要となります。(なお、以下各号は一例であり、使用許諾が必要となる投稿データはこれらに限定されません。)
- 歌のタイトル、文章等からの引用等、商品、企業、ブランド、有名キャラクター等の名前及びロゴ
- アニメ、CM、商品、企業等のキャラクターのイラスト、画像等
- 名を問わず、人物を特定できるイラスト、画像等
- ユーザーは、投稿データについて、その著作物に関する全ての権利(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含みます)を、投稿その他送信時に、当社に対し、無償で譲渡します。
- 4.ユーザーは、当社及び当社から権利を承継しまたは許諾された者に対して著作者人格権を行使しないことに同意するものとします。
- ユーザーは、当社が実施する各種キャンペーン等に投稿データが使用されることに同意するものとします。
この中で第3項「ユーザーは、投稿データについて、その著作物に関する全ての権利(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含みます)を、投稿その他送信時に、当社に対し、無償で譲渡します。」という項目がありますが、特にこれを指摘する声が多くあがっています。
さっきのユニクロの奴、全然ダメだった。凶悪すぎ。 https://t.co/Bn82Zjj7E0 利用規約より「ユーザーは、投稿データについて、その著作物に関する全ての権利(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含みます)を、投稿その他送信時に、当社に対し、無償で譲渡します。」
— tatuya (@tatuya_kannagi) 2014, 5月 19
「著作物の無償利用を許可」どころか「譲渡」なので、このTシャツ使うのに使った画像その他は「ユニクロのもの」になってしまう。結果、作ったTシャツの画像を掲載→無断利用でユニクロに訴えられるコンボ成立する。
— tatuya (@tatuya_kannagi) 2014, 5月 19
これ、クリエイター的な人たちが「サンプルで1枚手軽にユニクロで出力しよう!」とかすっげー危険だよ。著作権すべてが譲渡されるうえ、人格権も行使できないからユニクロ側が量産、改変し放題。https://t.co/Bn82Zjj7E0
— tatuya (@tatuya_kannagi) 2014, 5月 19
ユニクロのオリジナルTシャツ作成サービスが悪質。著作権(二次利用する権利まで含めて)を無償譲渡されてしまうので、自分のオリジナルイラストが、Tシャツを作った後は、自分のものでは無くなってしまい、ユニクロのものになってしまう。 https://t.co/I4bUNzDZtv
— kato takeaki (@katot1970) 2014, 5月 19
情報を整理すると、ユニクロがTシャツプリントサービスを始めたという認識は間違いで
あなたのデザインのTシャツをユニクロがあなたに販売しますってシロモノなのです。 そう、依頼した時点でこれはユニクロ商品の一つという事です。
— K3 (@K3flick) 2014, 5月 19
この辺りの声についてはTogetterでよくまとまっています。
・ユニクロ『UTme!』の権利帰属に関する利用規約が凄い – Togetterまとめ
例えば私が何かオリジナルの絵を描いたのならば、その著作権は私が持つことになります。ですがそれをUTme!に投稿するとその著作物に関する全ての権利をユニクロに無償譲渡しなくてはなりません。UTme!に投稿した後に、別のTシャツ作成サービスで利用したり、ほかのグッズを作ろうとした時には自分にその権利はなくなっている、ということです。
(ただ、ここでは「投稿データ」となっているので、それが投稿に使った画像のデータも含むのか、それを加工してTシャツにプリントできる最終データだけなのか、そこは判断が難しいところです。)
権利自体については、ユニクロ側で送られてきたデータをTシャツにプリントする際に必要になる、ということも考えられます。では他の似たようなオリジナルTシャツ作成サイトの規約はどうなっているのでしょうか。
オリジナルTシャツ プリントが激安で作成できる|originalprint.jp
■お客様の責務
お客様が本サービス上でアップロードするコンテンツ(データ、文書、写真、画像、文字など)は、たとえその内容が公知、周知のものであったとしても、またはお客様が個人的に取得したものであったとしても、その内容に関する権利は、それらを最初に作成した人(最初に作成した人から正当にその権利の譲渡や許諾を受けた人も含みます)に帰属するということを認識してください。
ご利用規約 Tシャツ、バッグなどにオンデマンドでオリジナルプリント
オリジナルTシャツをWEBでデザイン制作してプリントtmix
第14条(コンテンツの著作権)
1. 本サービス上に存在するコンテンツのうち、当社が提供するコンテンツやシステムに係る著作権(著作権法第27条、第28条各所定の権利を含みます。)、商標権その他の知的財産権は当社に帰属し、および広告物に含まれる著作権(著作権法第27条、第28条各所定の権利を含みます。)、商標権その他の知的財産権は、当社または当社にライセンス供与を行った提携先・広告主等の第三者に帰属し、または当社若しくは第三者の共有に属します。また、本サービス上に存在するコンテンツのうち、会員の創作にかかる文章、写真、イラストその他の創作物の著作権(著作権法第27条、第28条各所定の権利を含みます。)は、当該会員その他の権利者に帰属するものとします。
利用規約 | オリジナルTシャツ作成のtmix
基本的にユーザーの著作権はそのままユーザーにある、ということになっています。
例えば下請けの会社などに出してそちらで実際のTシャツを作成するということでも、著作権の貸与など一時的なものでいいように思われます。
さすがにこのままの状態が続くとも考えにくいので、遠くないうちに規約が改正されると思いますが、今後の動きにも注目しておきたいところです。
それにしても今回の件は、普段読み飛ばしがちな利用規約も、やはりしっかりと読まなくてはならないということを改めて教えられた気がします。
5/21、すでに利用規約が変更されています。
- 投稿データの著作権はユーザーに帰属します。
- 当社は、投稿データについて、本サービスの円滑な提供、当社システムの構築・改良・メンテナンス等に必要な範囲内で、変更その他の改変を行うことができるものとします。
・UTme! – スマホでデザイン、君だけのUT
・ユニクロ『UTme!』の権利帰属に関する利用規約が凄い – Togetterまとめ