様々な食材と共に旅するフィーバーパズルRPG『モモ姫と秘密のレシピ』。オリジナリティ溢れるキャラクターデザインと爽快でド派手なパズルが魅力で、事前登録時から話題になっていた本アプリですが、今回はそんな「モモレピ」の開発・運営を行っている「株式会社 Nubee Tokyo」さんにお邪魔し、エグゼクティブプロデューサーを務める成沢 理恵さん、そして「モモレピ」のキャラクターデザインを手掛けた森川 幸人さんから、ここでしか聞けないお話を伺ってきました!
成沢 理恵(写真左)
株式会社スクウェア・エニックスを経て、現在、株式会社 Nubee Tokyoのエグゼクティブプロデューサーを務める。
エキサイト公式ブログで、食べ歩きグルメコンテンツ「メシクエ LV34」連載中。
森川 幸人(写真右)
株式会社ムームー代表取締役。プレイステーションソフト「がんばれ森川君2号」や「アストロノーカ」などの開発者。
『モモ姫と秘密のレシピ』では、キャラクターデザインや世界観の構成を務める。
—本日はよろしくお願いします。
まず、最初に「モモレピ(モモ姫と秘密のレシピ – フィーバーパズルRPG)」という作品はどういった経緯から生まれたのでしょうか?
成沢:はい、もともと弊社は海外のお客様が非常に多い会社で、日本ではあまり名前を聞かない会社だったと思います。弊社は特にアジア圏、次いで北米のお客様が多く、言葉や世界や文化・習慣などあまり関係なくグローバルで遊べるものを目指したいと思っている中で、何か作れないかというところで一つ出てきたのがパズルゲームで、そこがまずきっかけです。
で、食べ物をテーマにしたのも、例えば「ファンタジーでドラゴン」といっても、世界中で想像するものが違うんですよね。じゃあ、世界共通でやる事って何だろうと考えると、「食べてトイレ行って寝る」ってこと。これはもうやるだろう!というとこで、まぁ、さすがにトイレとかないなと思ったんで(一同笑い)、食べ物にしましょうというところでラッピングしているのが今回の1番大本の企画ですね。
あとは、Nubeeの今年のテーマというか、ずっと長年のテーマなんですけど、日本の会社なので日本のお客様にも知ってもらいたいですし、世界のお客様でもまだ知っていただけていない方にも知ってほしいという思いがあったんですね。で、そのために今スマートフォンの会社をやってゲームを作っていますけど、別にどんなきっかけでもいいな、と思っていたんですよ。
なので、例えばお子さんとかお年寄りの方とか、なかなかゲームから私達を知ってもらうのは難しいと思うんですよね。でも例えば、キャラクターから入ってもらって、アプリを見た時に「このキャラクター見たことある」ってなって。実はゲームでした、という風になってもいい。そういうきっかけになってほしいと思ったので、今回キャラクターを森川さんの方ですごく力を入れて作って頂いて。逆に言うと、そういう世界観含めて作ってもらえる人と考えた時に、森川さんがパッと浮かんだんですね。で、お声掛けさせて頂いて、今回のような形になっているっていうのはあります。
—そうなんですね。では、もともとパズルゲームという話と、食事をテーマにしようという案があって、森川さんに依頼されたという事なんですね。
成沢:はい。その日に、どうしようと思ってすぐに電話をして…。
—あ、そうなんですね(笑)
成沢:いきなり携帯で電話をして、ホントその日かその翌日ぐらいに「夜、ちょっとお話したい」と言って、食事に行きました。それで森川さんに思っていること全部伝えて、森川さんが頭の中で考えてもらったのを、描いてくださって、その次の日にはもうラフが上がってきて…これです!これでした私の言いたいことは!みたいな。
—じゃあ、すごいテンポで進んでいったんですね。
森川:最初は肉と野菜だったんですよ。2つぐらい競合するっていう。それに食べ物がテーマである事と、なんかわんぱくなお姫様。元気なお姫様っていう辺りまでは、成沢さんがもう持ってて。で、食事しながらその話をしていた時に、もうポンポンポンポン絵が浮かんできたんで、あーこれはもう楽だなぁって思って。
で、わんぱくなお姫様って辺りからちょっと世界を膨らませて、いつもまさにそうなんですけど、絵本みたいに簡単な物語から始めるんですよ。これはゲームデザインとは関係ない、自分がゲームを作る時でも、まず世界をみんなに共有してもらう為に。で、そのラフを送ったら成沢さんにOKをもらったってことです。
—では、企画を練る段階で簡単なストーリーみたいなものを、ある程度描かれて、それから始まっていくという感じでしょうか?
森川:うん、もうパズルゲーム全く関係ないところから。
—そうなんですね(笑)森川さん自身も絵本など描かれていますよね?
森川:そうですね。
—ではそういったこところも、一つの要素としてデザインを行ってらっしゃるんですね。
—食べ物というテーマだと、ユーザーは農園ゲームなどを思い浮かべると思うんですが、パズルと食べ物をマッチングさせようと思ったきっかけは何かありましたか?
成沢:そうですね。案外食べ物とパズルに違和感を感じていなくて、今言われて、そういえば農園の方が流行っているなって思いました(笑)
何か意外にいけるような気がしてて、面白いなって普通に思っていて。だから私割りと、頭にぱっと浮かんだ方が先に行っちゃうんですよ。なので、そのつじつま合わせみたいな。いつも森川さんとかに「こうなんです!」って言って、矛盾があれば変えてもらったり。
まず「こんな感じだと面白いみたいな。」っていう、絵というかイメージが先に浮かぶんですよ。そこから物を考えることが多くて。今回もそうですね。なんか、「食べ物」「キャラクター」いいね!というところから入って。で、結構食べ物だといろんな人が手に取ってくれる、みたいなところとか、あと食事。日本の和食とか世界に知られているので、今後、ちょっと早いですけどオリンピックもあるので、もっと日本の事を知ってもらうきっかけになるかな?とか。良い事ばっかりバーっと浮かんだんですよ。
実は、肉と野菜じゃ足りないじゃないかとか、結構つじつま合わせないといけない事がいっぱい起きるんですけど、まず良い絵面がどれだけ浮かぶかで、それでいっぱい浮かんだものはきっと面白い!というところですね。
森川:ベースにあるのはね、食いしん坊なんですよ!
—あ!そうなんですね(一同笑)
成沢:うふふふ
—食事が好きなんですね。
森川:食べ物のことが頭の何割も(笑)
成沢:そうなんですよね。エキサイトさんというところで、「メシクエLV34」という食べ歩きの記事を書かせて頂いていて、もう15年とかになるんですけど、結構な長さで。私がスクエニ入社してすぐくらいにお話を頂いて、始めはゲームの事書いていたんですけど、だんだん飽きてきちゃって食べ物のことばかり書き始めて。仕事柄食べ歩く事が多いんで、本当にあの~、食べることに命かけてるんですよ。ホントに。
森川:仕事で何やっているの(笑)もうそこでの強引な結びつけ方がすごいよね。もう、仕事柄ではないと思う(笑)
成沢:いや!割りと仕事で考えたはず…
森川:いやぁ、むしろ隙あらば仕事にしよう、隙あらばメシをくっつけようといしている感じなんだけど。なんとかメシにくっつけようって(笑)
成沢:半ば強引ですよね。強引に…
—そういう事があったんですね(笑)森川さんと一緒にお食事される事もあるんですか?
成沢:よくご一緒させて頂いていますね。ほんと…
森川:でももう全然レベルが違いますよ。僕はね、ラーメンばっかりなんでね。彼女はオールカテゴリー。
成沢:口に入るものならなんでもいい
(一同大笑)
—では、食事の繋がりという部分があったという事ですね、お二人の間にも。
森川:そうですね。だから、マーケティングに「食べ物をテーマにしよう」という事ぐらいだと、動機付けとしてやっぱり弱くなっちゃうんですよね。もう、心底食べ物が好き、食べる事と食べ物が好きだ、という執着が二人の間に根底として流れているから、たぶん滲み出ちゃうんですよ。際立った世界観とか、こだわりが。それは大事だと思う。
成沢:執着はスゴイですね。ほんとに森川さんがココに美味しいお店とか、面白いお店があるよとか言うと、夜中とかに車出して頂いて、見に行きましょうって。
—すごいですね、それは!
成沢:興味のアンテナが、スゴく「食」に向いているんです。
–ネットで拝見したんですけど、噂によると森川さん自身がモランボンの調理師専門学校に行かれたとか…
森川:はい(笑)皆勤賞とったのあれだけだよ。学校は全部全然ダメだったんだけど。
成沢:かなか森川さんのその歴史を知っている方って珍しいですよね。
森川:うん。よく知っているね。
成沢:そうなんですよ。森川さん、そういう過去もあって。ご自身も料理すごくされる方なので。
—食への情熱が、この企画を生んだわけですね。
成沢:食への熱き思いが(笑)
—ここでまた質問が変わるのですが、森川さんがこれまで手がけたもので、「森川くん2号」や「アストロノーカ」などがありますが、「森川くん」がAIを搭載したキャラクターをメインテーマに据えていて、「アストロノーカ」の方では、そのAIが遺伝的アルゴリズムで進化していくみたいな、そういったちょっと先進的なことをされているイメージが、僕個人ではスゴくあったんですけど、今回の作品でもそういったものを入れようかとか、これから入れていこうという話はあったりしたのでしょうか?
森川:今回は僕が作るゲームじゃなくて、「ゲームの世界観を作る」っていう仕事なんで、ゲームデザインの所にそういった形での参加はないですね。
—では、今回はキャラクターの方を中心に考えられたということですね。
そのキャラクターも色々な種類があって、しかも全てに動きが付いていますが、あの動きも森川さんが全て考えられているのでしょうか?
森川:あれはNubeeの方でやられています。結構、勘の良い方達ばかりだったので、こういうキャラクターだったら、ちょこまか動くとか、どっしりとか、おどろおどろしく動くとか、ちゃんと汲んでもらえたので、そのチェックは楽でしたよ。
成沢:キャラクターは森川さんに監修していただいていて、食べ物の形をしているキャラクターと、あと人間の形をしているようなキャラクターがいるんですけど、食べ物の形をしたキャラクターが基本的に森川さんにデザインしていただいたもので、そこの動きなどは森川さんにも見てもらっています。
で、うちのデザイナー部門のリーダーをやっていた子をまず、森川さんの所に弟子入りさせてですね、森川さんがどういう思いで描いているのか、どういうことに気を使っているのかとか、一回ちゃんと見るっていうか、勉強してもらうってい事をやってもらったんですよ。まずそこで、森川さんがこういう事を気にするし、こういう風に動いた方が良いとか、そいう事を学んできて、社内で共有して、社内でも森川さんのキャラクターがこう動いたら楽しいだろうとか、きっとこういう性格でとか。もう物語を付けてくれているので、なんとなくパッと見た時にどんな感じか分かるんですよね。
きっと神経質だろうとか、おっとりしているだろうとか、そういうことが分かるんで、それに合わせてうちでアニメーションを付けさせて頂いてってとこですね。人型の方は、神界のヴァルキリーという弊社で出させて頂いているゲームがあるんですけど、そこで女の子とかを手がけている子が、ちょっとデフォルメしたキャラクターを作っています。
—今のところ、キャラクター数でいうと百数十ほどですか?
成沢:いや、もっといってますね。200以上はいっています。随時イベントで増えていっているので。
様々な食材をキャラクター化
—イベントもかなり頻繁にやっていらっしゃいますよね?
成沢:そうですね。毎日やっているイベントもありますし、この時間だけ発動するっていうイベントももちろんあります。例えばゴールデンウィーク中だと、柏餅などをテーマにした子供の日イベントとか、そういうものをテーマにしたキャラクターのイベントをやったり。毎月毎月、何かしら食べ物と関係があるんだなっていうことが、このゲームをやって改めてわかったんですよ。イベントを考えやすいんですよね。非常に。
—確かにそう言われるとそうですよね。夏だったらスイカとか、そういうことですよね?お盆だったらなすときゅうりとか。
成沢:そうです、そうです。まさに。なので、なんらか常にイベントを楽しんで頂いて。季節感も感じられるようになっていただけるといいなって思っています。
—キャラクターも今、200体以上あるというお話だったんですけれど、その1体1体に進化のパターンがありますよね。モモレピだと「レシピ」で進化する形になっていますが、それを考えるのは相当大変だったのではないでしょうか?実際のところ苦労はされたのでしょうか?
成沢:相当大変でしたね。
森川:デザインは、途中からNubeeさんのグラフィックのデザインの方にやってもらうようにしたんですけど、僕のイメージを吸い取ってもらうまでには結構時間がかかりました。
絵を書いている時って大きい絵にしちゃうんですよ。そうすると、十分差別化があるようだけれども、実際にスマホの小さい画面に映ると、全然見えないというあたりを細かくやりましたね。
成沢:企画も、食べ物が強くなるとか、食べ物が進化するってなんだろう?とか強化・進化をスゴく考えて、それはシステム的という以上に、意味的にというところが大きくて、普通に食べ物が食べ物を薬剤で進化していくっていうのはおかしいなって考えた時に、食べ物の具材が増えていったりとか、調味料が足されて美味しくなるとか、これがきっと進化だろうと。それをゲームに落とした時にどうなるだろうって考えていって、「レシピ」っていうタイトルにもなっているところに落ちたんですね。
いろんな食材が土地をまわっていくと落ちていて、それに合ったものを合体させるとその子自体が豪華になっていくくみたいな。パラメーターも良くなっていくんですけれど、そこの発想というか、普通にりんごが強くなるって何だというと思いつかないですよね、全然。
そこはデザイン面でも森川さんに協力して頂いて、それを受けてNubee側でも、じゃあ強くなってどういうスキルをもってる?りんごが変な火を吹いてもしょうがないので、どうしよう?とか。りんごを強くするための調味料って?とか。そういうのを全部考えだしたんで、結構時間かかりましたけど面白かったですね。
森川:オモシロ大変だった
成沢:オモシロ大変だった!ホントに。
森川:実際作ったキャラの5割位ボツキャラがあるんですよ。
—5割もボツになったんですね。
森川:結構描きましたよ。
—厳選されたキャラが今、生き残っているわけですね。ボツキャラが復活したりとかはしないんですか?
成沢:一瞬、お見せしたいものがあるのでちょっと取りに行ってもいいですか?
ええ!是非!
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成沢:お待たせしました。これ、森川さんには懐かしいと思うんですけど、多分これを媒体さんにお見せするのは初めてなんです。これ、実は森川さんの1回目のものです。
—おお!すごい!
森川:飯食って、その後ぐらいに描いた。
成沢:これがあがってきて。
—最初にお二人で話をされた翌日に作られたものですか!うわぁ、すごいですね!
成沢:今日、本当は最後にお渡ししようと思っていたんですけど、実は森川さんの原画で特別にクリアファイルを作らせて頂いたので、よろしければお持ち帰りください。
森川氏のスケッチがプリントされたクリアファイル
—こんなレアなもの貰っていいんですか!?ありがとうございます!!
森川:鮭の切り身とか全部ボツになったんだよね。なんでボツになったんだろうね。
—鮭の切り身?
中には「ボツ」になったキャラクターも
成沢:これ可愛いんですけどね~。
森川:あと、モモ姫のロボットも出て来なくなったんだよね。
成沢:もしかしたら出るかもしれないですよ?このモモ姫ロボ。
森川:このロボットは、成沢さんが持っているイメージを僕が絵に変換しただけのもので。
成沢さんは絵は描けないけど、イメージははっきりしているので、いいコンビだと思います。
成沢:でも、ホントに驚きました。森川さんから翌日これ出てきた時、ホントに鳥肌立って「うぉおおおお!」ってなりましたもん。
—素晴らしいですよね。自分のイメージがこんなレベルで返ってきたら。
成沢:スゴイ嬉しいですね〜。
—パズルゲームということで、モモレピの一つの売りがマルチプレイだと思いますが、実際ユーザーの反応はいかがでしょうか?
成沢:パズルって、対戦が多いんですよね。テトリスとかぷよぷよとか。私達は最初から対戦ではなく、パズルゲームをみんなで遊ぶ新しいカタチを作りたいというのがあったんですよ。
というのは、パズルゲームは日本でも世界でも沢山出ていて、スゴく面白くてクオリティーも高いので、後からものを出すっていうときに、これまでにないものを作っていかないといけない、新しいものを発見してもらいたいという気持ちはスゴくありました。
その中で、「協力」っていうのがあまりないねって。その中で、姫さまがペコットって言う食べ物キャラを連れて冒険に行って敵と戦うので、ユーザーは「協力」していくほうが相性が良かったんですよね。
他にも4人同時協力プレイができるパズルゲームはあるんですけど、盤面の同期を行っているところは少ないんですよ。私達が考えた協力っていうのは、その場の全員で楽しむバトンリレーに近いんですよね。例えば、次のターンの人の為にできるだけ赤を残す、っていう。
そうすると同期をとっている意味があって、「良かったよ」「悪かったよ」「頑張って」というコミュニケーションがとれて。次の人にバトンを渡して、「そこ削っちゃダメ〜」とか、そういう感動をして欲しかったんですよ。
フィーバーモード
そしてもう一つ、フィーバーパズルRPGという名前にしているんですけど、この「フィーバーモード」も大きな要素で、その一瞬だけは対戦になって、4人で「いっせーのーでッ!」で削るんですよ。で、削った人が1〜4位まで発表されて、1位になった人は、その試合が終わった後にいいアイテムがもらえる権利が出てくるんですね。なので、そこだけご褒美欲しさに争いを起こしてもらうという(笑)
—そう言う意図があったんですね。確かにパズルで対戦だと、相手同士で攻撃するパターンが多いっていうのは仰るとおりですよね。あと、盤面同期っていうのは技術てきにも高いことをされているので、大変ですよね?
成沢:大変です。Unityとか使ってなくて、弊社の自社エンジンなんですよ。Unityも使いたいなと思って研究もさせて頂いているんですけど、なかなかまだ小さな会社なので、立ち上げからずっと自分たちでエンジンを作っていて。
同期を取るという技術は仰るとおり難しくて、なかなか試行錯誤が必要だったんですけど、社内でこういうことがやりたいと言ってすぐにプロットを作れたりとか、トライ・アンド・エラーが早かったので、その分今のような形にもなりましたし、削るっていうところも、ルールとしては3つ以上なぞるということなので、世の中にもあるパズルの消し方なんですよね。ところが、パズルをなぞると分かる通り、結構ゼリーのようにぷるんと削れるようになっています。あれも結構微調整をかけて、操作感とかそういった部分に力をいれて、なるべくパズルが好きな方が見たことあるようなものではなくて、「これはなかったね」と言ってもらえるようなというか。時間を使って遊んで頂くので、何かお返しができるようなものを盛り込もうというのは決めています。
森川:ここは粘ったよね。最初の頃の手触り感から、完成品までは、よくここまでブラッシュアップしたなって思う。もういいんじゃない?っていう段階はいくらでもあったはずなのに、そこで妥協せずにいったから、それはすごいなって思う。
—では、かなり作り直したんですね。
成沢:そうですね。取っ替え引っ替えして、乗せてはまたやめてで、何列にするかとか、横幅縦幅とか一個一個大きさ、指の大きさとか考えて触った時にどういう反応をパズルがしてくるかとか、どの位置に指を置くとどう動くとか、全部計算してやっているんですけど、ちょっと遅いだけでもイライラするんですよね。
—そこを相当こだわって作られたんですね。
成沢:触ることが全ての操作につながっていて、それを何十回も何百回もしなくちゃいけないので、そこが気持ち悪いと遊びたくなくなちゃう。だから、全ての操作を意識していなくてもやっていることろまで落とさないと行けなかったので、リリース直前のギリギリまで、調整していましたね。
—リリースしたタイミングで、バグがほぼゼロだったということを聞いたんですが。
成沢:それは結構おおげさで、もちろんバグは出てしまいました。ただ、客様に影響をおよぼす様な大きなものはおかげさまで無くて、うちのクライアントチームと、サーバーチームがしっかりやってくれました。
あと、人数少ないからこそっていうのもあるんですけど、全員野球みたいなことをしていて、全員で遊んで全員でやって、調整してちょっと何かあると書き込んでっていう感じで。久々にものを作るって良いな~っていう懐かしい感じでしたね。
いいですね。全員でバグ潰ししながら。協力プレイなんかもしながら。
成沢:そうですね。みんなで作ったっていう感じですね、今回のゲームは。
仕事とか関係なく、昼時間なんかにみんなキャッキャいいながら社内でやってくれていたんで、それを見てちょっと安心しましたね。みんながいちファンとして、社内の子が遊んでくれているのを見た時に「ああ、いいところまできたのかな」と感じました。
—-みんなで集まってワイワイというのがいいですよね。
成沢:今って結構、離れたところで遊んでいると、コンピューターかどうなのかわかんないっていうことも起こるんですよね。
でもやっぱり、人それぞれ癖が出るので、そこがAIじゃないなというか、コンピューターじゃないと気付いてもらえるところで。みんなで遊んでる感がでるので、面白いだろうなって思いますね。それは、盤面共有しているからこそっていうのと、あとリレー型にしているからできる事ですね。
それぞれの「癖」が出る協力プレイ
—非常に個人的な話で恐縮なんですが、僕自身のキャラがまだまだ弱くてですね、マルチプレイヤーでマッチすると、僕が足を引っ張ってしまっていて、なかなか勝てないことがあって。それで是非、マルチプレーで上手くやる秘訣などがあれば教えて欲しいのですが…
成沢:なるほど。キャラクターをどう持ち寄ったかが大きくて、スキルと属性の影響を割りと受けるので、まずそこが大きいですね。リーダースキルを赤で統一していて、赤の攻撃力が倍化されているようなものだと、赤でいったほうがよかったりとか。
あと、ココを消すとココが落ちてくるっていうのがわかるようになっていると思うんですけど、そこを2手くらい先を予測するんですよ。より長く繋がって消したほうがいいので。マルチだとその先にまだお友達がいるので、「ココを消して自分は長くつないだ上、あの子もこれ消せるな」という事を考えてやっていくと、マルチがさらに面白くなる上、いい形で回って行ったりしますね。
わかりました。では、2手先を読めって言うことですね。ありがとうございます。
今は自分の近くにいるプレイヤーのルームが表示されますが、遠くの友達と遊べるようになったりはするのでしょうか?
成沢:遠くの友達とも、今は割りと広範囲で検索かけられるようになっているので、例えばここから北海道のプレイヤーとも実は繋がるんですよね。
—そうなんですね。マッチングはレベル別にされているとかあるんでしょうか?
成沢:今はフリーにしてあります。でも、レベルが強くても勝てないっていうとこともあるんですね。逆に低くても勝てるということがあって、それは属性の相性とか、持っているスキルとか、パズルの運ももちろんあるので、そこはあまり制限かけないでいこうっという風にしています。
—話がまた少し変わるのですが、App StoreとGoogle Playの方でフィーチャーをされていましたよね。実際にフィーチャーの反響とかはどうだったでしょうか?
成沢:非常にありましたね。Appleさんと、Googleさんの方でおすすめとして紹介いただいたので、ユーザーさんにあそこに載っているものから探す人が多くて、アプリもこれだけ多いとなかなか探せないですよね。
その中で、これがオススメという風に出していただけるのは大きいのでいい告知というかプロモーションをして頂けましたね。
—これも気になっていたことなのですが、バブルサッカーのプロモーションビデオがありましたが、あのビデオは結構インパクトあったと思うんですよ。あれもまた何か経緯があって、あの形になられたんですか?
・モモ姫と秘密のレシピ オフィシャルムービー ロング ver|YouTube
成沢:あれには森川さんも出ていただいたんですが、知らない方には是非見ていただきたいのですが、ホームページの1番上と下に2つムービーがあるんですよ。実は同じものでは無くてですね、上がフルバージョンの1分以上あるムービーで、下が30秒のCMで中身が違うんですよ。
こっちは森川さんがスゴくフューチャリングされているもので。似て非なるムービーがはいっているんですよ。
–あ、まだ下の方は見たことがなかったです。
・モモ姫と秘密のレシピ オフィシャルムービー 30秒 ver|youtube
成沢:是非見てください!普通は動画内でゲームの紹介とか、「こういう遊びです」っていうのを作るんですけど、ユーザーさんの時間を使って見てもらうので、せっかくなら「面白かった」とか「良かったな」っていう気持ちになってもらいたい。
だから見ていただくと分かる通り、全然ゲームと関係ないところから入っていると思うんですよ。まず「見て楽しかった」というのが残って、タイトルだけでも覚えて貰えれば、という想いからはじめました。
それでそいうことが得意な色々の会社さんにお声掛けをして、その中で飛び抜けてすごい企画を頂いたのが、株式会社ANOMALYさんでした。ここはカリスマカンタローという日本一のダンサーさんが主宰している、元々ダンスのPVを作っていたところですが、今は幅広く映像を作られている会社さんで。もう資料みた瞬間イメージが湧いて、「これだ!実写でいこう!」と。
–なるほど。また話が変わるのですが…Nubeeさんと言えば、一番最初はコインパイレーツから始められたと思います。その後も色々とアプリを出されて、海外で活躍されている「日本発のデベロッパー」というイメージがとてもあるのですが、今回の「モモレピ」についても海外展開はされているのでしょうか?
成沢:はい。アジア圏の一部はリリースしていないのですが、北米、ヨーロッパ圏ではリリースしています。今、12タイトル運営しているのですが、今年の3月で累計5,700万ダウンロードされています。
–5,700万ダウンロード!すごいですね!
成沢:ありがとうございます。もともとシンガポールなどにも会社があたっていうのも大きいと思うのですが、「変わったもの」というか、一見、海外の会社っぽいけれども日本っぽくもあるような、不思議なゲームを作っていたと思うんですよ。でも、そこが良くて。
今まで作ってきた「Japan Life」もそうなんですが、Japan Lifeういうイメージで神社も蕎麦屋さんも見ていると思うんですよ。そこがスゴく良かったのかな〜って。
日本人って、どうしても日本に居るので分かっているものを出しちゃうんですけど、そうじゃないんですよね。そこの視点は海外にいたスタッフが上手く実現をして、向こうの方が思う日本の街作りをして、「Japan Life」も1,550万DLダウンロードまでいったんですよ。
–おお!すごいですね。
成沢:それで「モモレピ」は割と海外の方にも受け入れていただきたいということで、「食べ物」というテーマをすごく意識して作ってはいるんですけれども、今回は軸を日本に向けていて、今までのテイストより少し日本向けに作っているかなっていう気はしますね。
–今後、アジア圏に関してもいろいろ見据えていらっしゃるんですか?
成沢:そうですね。アジアに関しても、予定はしています。
–日本特有の食べ物なども出てきたり?
成沢:最初の頃は割りとワールドワイドな感じで、日本ならではの野菜などあまり出さないようにしてたんです。多分この後、ネタに詰まって出てくると思います。(笑)
–そういった食文化も、海外に向けて発信していくという楽しさもありますね。
成沢:お寿司とか…。
–お弁当とかも海外にはあまりないですよね
成沢:日の丸弁当とかって多分意味分かんないんじゃないですか?「その真中の赤いのはなんだ!?」って。
(一同笑)
森川:でもなんとなく推測はつくんじゃないかな?食べ物っていうカテゴリーで縛っているから。
–日本のお弁当文化は、海外でも人気がありますよね。日本の「ベントーボックス」って綺麗で羨ましいとった感じで。
成沢:モモレピに「魔神天丼丸」というキャラがいるのですが、これ天丼なんですけど、どんぶり系は海外の人は不思議に思う方が多いんじゃないかな〜って。
森川:わかんないと思う。山菜系とかも全然だしてない。わかんないだろうなって思って。
成沢:結んでいる昆布とかって…。
森川:かんぴょうで結んでいる昆布…。かんぴょうってなんだよってね。
–日本食は今、世界的にもかなり人気になっていますから、「モモレピ」からもどんどん発信できていけると良いですよね。
では最後に、ユーザーの皆さんに何か一言頂けますか?
成沢:食べ物をテーマに作らせて頂いて、この食べ物がこういうキャラクターになって、進化するとこんなふうになるんだっていうところもスゴく楽しめるように作っています。キャラクター紹介のところで見られますが、各キャラクターに物語やお話がちゃんとあって、読み物としても楽しめるようになってます。森川さんに手が腱鞘炎になってまで描いて頂いた思いというか、食べ物への執念が詰まっているので、是非キャラクターを楽しんでいただきたいのと、マルチを楽しめるように工夫をしているので、周りの人を誘って遊んでもらいたいなと思っています。
森川:スマホもどんどんゲーム演出がコンシューマーゲーム並みに、リッチになってきているじゃないですか。ただそうは言っても、ここまで僕らほどに世界観に凝るということはスマホではなかったんですよ。そいういった意味では、成沢さんが頑張って上を説得してくれたおかげだと思います。僕の立場でも、これはスマホで初めての体験で、キャラクター全部に説明があって、世界観がある。これは、スマホアプリの次の一歩目になっているんじゃないかなと思っています。その辺も楽しんで欲しいですね。
–では、本日はありがとうございました!
筆者のどの質問に対しても、終始楽しそうにお話しされており、「モモレピ」を作るのが楽しくてしょうがないという気持ちが伝わってくるインタビューでした。成沢さんと森川さんのコンビも相性バッチリで、お二人の掛け合いがとても印象的です。
また、“ユーザーは時間を使って「モモレピ」をプレイしてくれている”という意識が強く、ユーザーがより面白いと思うもの、楽しいと思うものを提供していこうという意志を、ヒシヒシと感じる事ができました。
今後の『モモ姫と秘密のレシピ』の展開も、非常に楽しみです。
・フィーバーパズルRPG モモ姫と秘密のレシピ 公式プロモーションムービー|youtube