LINEリサーチ:新型コロナウイルス関連の情報、大勢が不確かな中での行動を控える

LINEリサーチでは、日本放送協会(以下 NHK)の番組制作に向け、全国の10代から50代の男女を対象に、新型コロナウイルスに関連したニュースや報道に関する考え等の調査を実施、その結果を発表しました。

※調査結果の詳細はLINEリサーチの調査メディア「リサーチノート」でご覧いただけます:https://research-platform.line.me/archives/35247280.html

■フェイクニュースー約6割が感じる情報の真偽の難しさ

テレビやネットで多くの新型コロナウイルス関連の情報が飛び交う中で、皆さんは情報とどう向き合っているでしょうか。

「新型コロナウイルスの情報に関して感じていること」を聞いたところ、「どれが信頼できる情報か見分けるのが難しい」と感じる人が最も多く、約6割という結果に。また、4割弱が「感染拡大につながるような楽観的な情報は危険だと思う」「誤った情報やデマがひろがっている」「日々多くの情報が流れてくることに混乱する」と回答しました。

■情報拡散-8割が誰かに情報を伝えている。不特定多数に知らせるのはごく少数

新型コロナウイルスに関して気になるニュースや身の回りの情報を聞いたときに、誰かに伝えたとした人は8割強でした。

誰に伝えたかについて、7割強が「家族に」次いで、5割が「家族以外の実際の知り合いの人に」伝えていました。

どのように、も含めてみると、「家族」へは「口頭で話しかけている」様子がうかがえます。

本人に拡散の意図なく情報が広まってしまいそうな組み合わせである、「ネット上だけの知り合いの人」や「不特定多数の人」に情報を「公開で」伝えている割合は非常に低く7%・5%と、1割以下にとどまります。

■拡散動機ーその情報を伝えた理由は?「大事な情報・役に立つ情報だと思った」と善意から

前項から多くの人が、気になる情報を他の人に伝えていることがわかりましたが、情報を伝える動機は何なのでしょうか。

その理由を聞いてみたところ、「大事な情報だと思ったから」が7割弱、「役に立つ情報だと思ったから」が約5割となりました。良かれと思って自分が見聞きした情報を伝えているということがわかります。

一方、拡散目的やいたずら目的で情報を伝達する人は、非常に少ない結果となっていました。

デマなど、不確かな情報が拡散されていることが問題なってはいますが、特に今回の新型コロナウィルスの状況において、そういった行為は少なくとも意図的には非常に少なかったことがわかります。

■不安と拡散ー不安に感じる人ほど情報を伝えやすい傾向

LINEリサーチでは過去4回にわたり日本国内における新型コロナウイルスの感染について「不安度」を聞いており、4回目の調査実施時点(2020年4月16日:https://research-platform.line.me/archives/34978663.html)では、9割強が不安を感じているという結果でした。

さらにこの調査では、「ご自身が感染する可能性」について聞きました。 自分への感染不安度も全体として高く、8割強が不安と回答していました。

ご自身への感染に対して「不安を感じる人(※1)」と「不安を感じない人(※2)」で比較をしてみると、「不安を感じる人」のほうが、情報を伝達している割合が多い傾向が見られました。

しかし、前述の全体の傾向と同様に、「不特定多数」に情報を伝達する傾向はなく、主に家族や知り合いが情報を伝える相手となりました。

※1.「とても不安を感じる」「不安を感じる」「やや不安を感じる」人のグループ

※2.「どちらともいえない」「あまり不安を感じない」「不安を感じない」「全く不安を感じない」人のグループ

「不安を感じている人」が情報を伝えようと思った理由は、「自分の不安を知ってほしかった」という回答が「不安を感じていない/どちらともいえない」人の回答と比較すると高くなっています。

また、「大事な情報だと思ったから」、「役に立つ情報だと思ったから」の回答も高い結果となっています。

不安が高まると対策を考えたいと思うのは自然なことです。周りにも情報を知らせて一緒に乗り越えようとしていた姿が現れているのかと思われます。

■主体的判断ー情報の真偽が不明の中、行動選択を支えたもの

全体に日常よりも不安の高まる日々でしたが、新型コロナウイルス関連の情報があふれる中で、人々が情報に対してどのような反応を起こしているのかを、具体的なニュースをあげて調査しました。

以下は、「若い人は新型コロナウイルスに感染しても、重症化しない」という情報について聞いたものです。

まず、この情報についての認知を聞いたところ、約9割が聞いたことがあるという結果になっており、この情報が様々な場所で多くの人に伝わっていたことがわかります。

そして、この情報を「聞いたことがある」という人に対して、その情報を信じたかどうかを聞きました。

年代別にみると、およそ3割前後の人が情報を信じたことが分かります。男性のほうがやや信じた方が多いようです。

次に、『その情報をきっかけに』何らか行動をとったかを聞きました。

「若い人」というワードをどう受け取っていたかは不明ながらも、結果は、男性は9割前後、女性に至ってはほぼ100%に近い人が「特に何もしていない」と回答しています。

1つ前の質問から、3割前後の方がこの情報を信じていました。

一般的にも「若い方」に該当すると思われる10代20代でも、この情報を聞いたら気が緩んで何かの行動をしたかというとそうではなく、圧倒的多数の方が何もしませんでした。

何らかの行動をしていた方に、具体的に何をしたか聞いたところ、ショッピングが一番多く、男性3~40代の中で7%前後でした。

「若い人」からするとやや意外にも、30代40代の男性のほうが何らかの行動を起こしていた人が多かったです。しかしいずれも1割を切る割合ではありました。

今回回答いただいた方は「高齢ではない」という意味で、みな「若い人」と解釈することも可能な年代の方々です。

「自分はかかっても重篤化しない」と信じてもよい状況だったと思いますが、信じていても信じていなくても、実際の行動に反映したのはいずれも数%とごくわずかでした。

この情報が最初に出回ったのは2月あたりで、コロナに関するニュースの中でも早期のほうでした。

このニュースが出て、若い人は用心せず出歩くであろうと警戒され、実際に数ケースのクラスターの発生が見られたりもしました。

しかし、この結果を見ると若年層を含め圧倒的多数の人が行動抑制をするべしとの判断をしていたことがうかがえます。

集団モラルの圧力も否定はしませんが、情報の真偽不明な中リスクを抑えるための個々人の主体的な状況判断があっての100%近い数値であったのではないかと推測されます。

■個人データ活用の今後ー「危機」と「日常」の使い分け

アジアの諸外国で、位置情報や検索履歴などのネット上の個人データを活用した新型コロナウイルス感染拡大防止の対策を行っていることから、日本でもこのような取り組みのために個人データを活用するとしたらどのように感じるかを聞きました。

すると、「新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためのような、危機を逃れるための目的で使われるのは問題ない」という回答が半数以上でした。

一方で、「日常的な行政サービスのために使われるのは問題ない」は1割強、「目的に関わらず、問題がある」が3割弱となり、大きな災害や危機的な状況における活用については受け入れられるものの、まだまだ日常的な面においては抵抗がある人が多いことがわかりました。

個人のデータの活用はとても難しい問題ですが、非常事態と日常をしっかりと切り分けた承認方法が確立しており、これからの抑制生活の一助になるならば、一考の余地があるのかもしれません。

【調査について】

LINEユーザーを対象にしたスマートフォンWeb調査

調査対象:日本全国 15-59歳男女

実施時期:2020年5月8~11日

有効回収数:2000サンプル

※市場の性年代別構成比に合わせて回収

※NHKの番組制作のための共同調査として実施

【「LINEリサーチ」について】

「LINEリサーチ」は、企業における事業開発・マーケティング活動の最大化を目的にした、スマートフォン時代のリサーチプラットフォームです。

約516万人のアクティブモニターのうち10~29歳が53%を占め*、学生や若年向けの出現率の低い調査も実施可能です。

また、従来型の調査パネルと異なり、リサーチ興味度の薄い層にもコンタクトが可能なため、より一般的な意見を収集できます。

LINEのプッシュ通知で配信するため、ユーザーがリアルタイムで回答しやすいだけでなく、スマートフォン上で回答しやすい画面設計を行っていることで、効果的に調査を実施することが可能です。

* 2020年4月時点

「LINE リサーチ」公式サイト:https://www.linebiz.com/jp/service/line-research/