日本時間の本日未明、米サンフランシスコで行われたAppleの開発者向けカンファレンス「WWDC 2012」の基調講演で、iPhoneの次期新OS「iOS6」が発表された。
200もの新機能が追加され、特にSiriやMapsの劇的な進化などに会場は多いに盛り上がった。
しかし、Androidユーザーから見ると既視感のある機能も少なからずあり、常に”革新的な新機能“を発表してきたAppleにしては少々遅れを取っているのではないかと思ってしまう部分もある。
今回はiOS6の新機能をいくつかピックアップし、Androidにおける同様の機能と比較してみたいと思う。
iOS5までは地図アプリとしてGoogle Mapsを利用してきたが、iOS6では内製した新しい地図アプリを搭載する。
周辺情報の検索はもちろんのこと、ナビゲーション機能や交通(渋滞)情報の表示、都市部の3D表示機能などが追加される。
今秋にiOS6が提供される時点でどの程度日本で利用できるかは定かでないが、期待に十分応える内容だったのではないだろうか。
個人的に素晴らしいと感じたのが”ナビ”と”Siri”との連携である。これによりiPhoneに話しかけるだけで目的地までエスコートしてくれる。これは既存のカーナビを凌駕していると言えるだろう。
一方のAndroidでは既にナビゲーションや交通情報に対応しており、先日3D表示の新機能についても発表された。(新機能は数週間以内に提供予定)
徒歩や電車の乗り換え検索による”ドアtoドア”によるルート案内やストリートビュー、インストアマップなどAndroidでも利用率の高い機能となっている。
もちろん、Androidにも音声入力機能があるので音声で目的地を入力することはできるが、Siriでは会話的に目的地を設定することができるだろう。
長年”地図”に注力してきたGoogle(Android)が有利であるのは言うまでもないが、Appleの高いユーザビリティ設計でどこまで対抗できるのか、注目が集まる。
iOS5で追加された音声アシスタント機能「Siri」の進化も今回の発表の目玉だろう。
サムスンやAndroidをおちょくる良い性格になったのではなく、今まで「ジャイアンツの試合結果を教えて」と聞いても「ググレカス」としか答えてくれなかったのに対し、Siri自身が調べて答えてくれるようになったのである。
これからは”ググレカス“ではなく”Siriに聞け“になるのかもない。
またアプリの起動も行えるようになり、より”一歩踏み込んだ動作“がSiriで行えるようになったのである。
一方のAndroidではかなり初期から音声入力に対応していたが、文字入力の代替手段にほかならず、”音声アシスタント”というようなシロモノではない。
iPhoneとおしゃべりしてレストランや映画を検索したりTwitterに投稿できるのは、なるほど確かに未来的かもしれない。でも、実際のところ日常的にSiriを使うか?というと微妙なところ。
飲み会や合コンで自慢したいなら、『しり』の方がウケるだろう。
日常的に使うかどうかは別として、「Siri」は”革新的な新機能”であることは間違いない。
Androidは音声入力という”手段“を提供したのに対し、iOSはSiriという”アシスタント“を提供したのだから。
iOS6では久しぶりに電話機能がアップデートされた。
今までは着信時に「応答/拒否」の2択だったのに対し、留守番電話やテキストメッセージによる応答ができるようになったのである。
この留守番電話機能は、日本のいわゆるガラケーで伝言メモとして当たり前のように搭載していた機能だが、スマートフォンでは一部の国内メーカー製Android端末にしか搭載していなかった。
テキストメッセージによる応答はAndroid 4.0に標準で搭載しているが、SMSが一般的でない日本ではあまり流行らないだろう。
意外な形でガラパゴス機能がiOSデビューしたが、これはぜひともAndroidにも標準搭載してほしいところである。
他にもiOS6には様々な新機能があるが、単刀直入に言ってしまえばAndroidでも似たことはできるのである。
フォトストリームの共有機能やFaceTimeは、AndroidのGoogle+やハングアウトでできてしまう。(電話番号によるビデオ通話はできないが)
SafariのiCloudと連携(タブをPCとiPhoneで同期)もAndroid 4.0対応の『Chrome Beta』に同様の機能がある。
揚げ足取りのようになってしまったが、重要なのはここから。
“後追い”と言うとまるで”パクリ”のように聞こえてしまうが、超えちゃいけないラインのパクリかどうかは裁判所が決めることであって、我々エンドユーザーにとって新機能を利用できる機会が増えることは喜ばしいことだ。
これまでの様々なサービス・製品を見てみると、後発であっても優れていればヒットしている。
今回、iOS6の新機能は既にAndroidでできるという風に書いたが、細かい部分でかなりの違いがあり、そこが重要な点でもある。
iOS最大の魅力はカタログスペックでは語れない利用者に配慮した設計思想であり、それを伴った新機能・新サービスである。
「iOS6の新機能はAndroidの後追い」と言って片付けるのではなく、両方を実際に手に持ってみてどちらが優れていて何が違うのかを考えることが、重要なのではないだろうか。
普及率が懸念されるAndroid 4.0も今夏より搭載モデルが続々と発売され、多くのユーザーが最新のAndroid OSを体験することができるようになる。
そういった意味でも今秋にリリースされるiOS6は、Androidユーザーにとって気になる存在となりそうだ。
【参考・引用】
・Apple – iOS 6 Preview
・【まとめ】Appleの開発者向けカンファレンス「WWDC 2012」でMacBook Pro Retina Displayモデル 、Mountain Lion、iOS6が発表!
・Google、Android向け『Googleマップ』のオフライン対応やGoogle Earthの3D表示などを発表