320万人以上が遊ぶ“暴走ヤンキーバトルゲーム”「暴走列伝 単車の虎」を開発・運営している株式会社Donuts。単車の虎以外にも、「ヱヴァンゲリヲン バトルミッション」や「Tokyo 7th シスターズ」といったゲームや、動画アプリ「MixChannel」、恋愛とメイクのハウツーサイト「ハウコレ」などといったサービスも運営しています。
今回、新宿タカシマヤタイムズスクエアも一望できるDonutsのオフィスにお邪魔し、会社の成り立ちから開発の裏話、ヒットの秘訣などを取締役の根岸心さんに伺ってきました。
────今日はよろしくお願いします。さっそくですが、最初にDonutsの会社の成り立ちから教えていただけますか。
根岸:元々、前職(DeNA)で僕と西村(※西村啓成 代表取締役)が同期で、週に3〜4回昼メシを食べに行く仲でした。そこでサービスの話や仕事の話をしていていました。
僕自身が高校の時から起業してみたいと思いがあって、DeNAで3年弱働いたんですが、2年が終わる頃くらいに起業したいという想いが蘇ってきました。それまで忙しすぎて忘れていた感じですね。
そこから準備を徐々に始めていきました。そうした中でいろいろな本を読んでいたんですけど、面白い本があったので西村に貸したところ、彼自身がやる気になったんです。そこで一緒にやろうとなりました。
────ちなみに何というタイトルの本ですか?
根岸:リカルド・セムラーの「奇跡の経営」という本です。
────元々のきっかけは根岸さんですが、この本に触発されたという側面もあるんですね。西村さんは元々起業するつもりはなかったんですか?
根岸:そうですね。彼はずっとDeNAに居るつもりで、新卒の2年目で自分の企画を南場さん(※DeNA 南場智子 取締役 ファウンダー)にプレゼンしてOKが出て、既に自分のプロジェクトチームを持っていたんです。特に不満は無かったようですね。
────ただ、「奇跡の経営」を読んで、自分でもやりたいという気持ちが湧いたんですね。
根岸:そうですね。少しだけ湧いちゃったらしいですね(笑)
彼の考えとして、そこで起業しない、踏み切らないのはダサいという気持ちがあったそうで、自分の中でそういう気持ちが湧いちゃったので、もう(DeNAを)辞めよう、と。1〜2週間で決めたみたいです。
────それは速い決断ですね。
根岸:僕自身もそれは知らなくて、5年くらい経って対談する機会があったんですが、そこで初めて聞いてビックリしましたね。
その本は、僕の妻、当時の彼女から僕が借りた本を、又貸ししたんです。だから不思議な出会いなんです。
────奥さんが間接的にきっかけを作ったんですね。奥さんには頭が上がらないですね(笑)
根岸:そうですね(笑)不思議ですよね。
────最初は2人で初められたそうですね。開発も2人で分担していたんですか?
根岸:主に2人ですが、大学院の先輩も手伝ってくださいまして、3人でやってました。
最初は、当時PCで「教えて!goo」や「Yahoo!知恵袋」が流行っていて、それをモバイルに持って行って、リアルタイムでQ&Aをやったら面白いと思っていました。例えば「今のこの場所でおいしいお店ない?」とか、そういうサービスを2007年に始めました。
────モバイルサービスとして2007年は早いですね。
根岸:そうですね。しかし、見事に失敗しました。理由はいくつかあって、まず、当時はスマホがありませんでした。外でウェブページを見るという慣習もなかったですし、アプリもありませんでした。
あと、僕ら自身がマーケティングを重要視してなかったことです。本当に、ただサービスを置いただけだったんです。そういうことがあり、結局失敗してしまいました。
資本金350万円でスタートし、これでは食べていけなくなっちゃうということで、一旦、受託開発に切り替えることになりました。その後、2〜3年は受託開発をしていました。
────“下積み”じゃないですが、そういう時期があったんですね。
根岸:そうですね。僕らとしては自社サービスをやりたかったので、「ちょっと違うな」という思いもあったんですが、下積み時代を重ね、開発体制も整いましたね。
そこで自社サービスをやろうと始めたのが「ハウコレ」や「JOBCAN」というサービスです。この2つは随分昔から運営しているサービスなんです。
────この2つのサービスを始めるきっかけはありましたか?
根岸:ハウコレについてはnanapiさんに似ているところがあります。ウィキペディアは「what」に答えるもので、「how」に答えるものを作ったらいいなと思ってたんです。
実はハウコレの前身のサービスはnanapiさんより前に出てるんです。8〜9ヶ月前に出したんですけど、全然イケてないものだったんです。
ウィキペディアのハウツー版だったので、ユーザーが書き込んでくれなければ成立しませんし、しかも、エンジニアリングというニッチな分野だったので、すごく中途半端になってしまいました。いまはQiitaがそういうサービスをやっていますね。
────エンジニアのハウツーを集めたサイトをウィキペディア風に作る予定だったんですね。
根岸:そうですね。まずそこからスタートして、最終的にはウィキペディアのような広さを持ったハウツーサイトにしたかったんですが、まるでダメで(笑)
やはり経験不足だったり、いろいろうまくいかないところも多かったんですが、そういうなかでnanapiが出てきて、リリースを見たときに「これは負けたな」と愕然としました(笑)
────対象はちょっと違いますけど、コンセプトは同じですしね。
根岸:そうですね。でも、本当によく考えられてるなと思いました。
まず、日本のユーザーは書き込まないんですよね。ウィキペディアは海外のユーザー、かつ、コミュニティー運営がかなりうまくいってるケースだと思うので、それを日本に持ってきてもうまく行かないのは当たり前ですよね。薄く広くしたのも上手だなと思います。
────最初は7つのテーマでスタートしてましたね。
根岸:そうですね。軽く読める読み物として、全然発想が違いました。
それを受けて、僕らはどういうポジショニングにしようかというなかで、若い女性にターゲットを絞って薄く広くやっていくことを狙っていきました。
────「JOBCAN」についてはどうでしょうか。
根岸:JOBCANに関しては、会社の立ち上げのころからExcelで勤怠管理をしていたんですが、20人くらいになったときに、ちょっと面倒なので何とかならないか、というところが始まりです。
自社サービスを始めるにあたって何か売るものはないかというとき、社内にあるものをそのまま売ればいいじゃないか、という経緯です。
────自分たちで使うために作ったものをパッケージ化したんですね。
根岸:はい。でも、その2つだけではなかったんです。
今はなくなってしまいましたが、ドーナツを食べて写真とコメントを書いてランク付けする「ドーナツランキング」というサービスです。
あとは、「みんなの受験体験記」という、みん就(みんなの就職活動日記)のようなサービスを作ってみたり、いろいろやってましたね。
────どちらかというと、ウェブサービスという方向性で自社サービスを立ち上げていたんですね。
根岸:そうですね。ただ、すぐにはマネタイズできないということが分かりました。ちょうどソーシャルゲーム市場が盛り上がってきたころで、僕らもそこに飛び込んでみるかということでチャレンジし始めたのが、ゲーム事業のスタートになります。
────ゲーム事業も最初のうちは大変だったそうですが。
根岸:最初に自社でゲームを始めた時は10万人くらいユーザーを確保できました。次はヒットをだそうと2作目を出したんですが、売り上げが1日2千円くらいで、完全に失敗でした。
そこから学んだこともあり、最も大きかったのは、当時流行っていた要素をてんこ盛りにしたことです。それではユーザーにとってやる価値が全然ない状態なんですよね。
そのとき、既に3作目がある程度出来上がっていたんですが、見直してみると失敗すること間違いないという状態でした。
────2作目のノウハウで、3作目がどうなるか予想できてしまったんですね。
根岸:そうですね。ですから、てんこ盛りの状態から機能をそぎ落とし、おまけの機能だったバイクのアバター組み合わせてバトルする機能だけにしました。それでリリースしたら、すごくヒットしましたね。
僕らは失敗しながら知見を貯めて次に活かすということがいろんなところで起こっていて、受託開発で試行錯誤したことは自社サービスで生きてきましたし、それぞれの事業の中でも生きてきていますね。その連続ですね。
────その機能にフォーカスした理由は何だったんでしょう?
根岸:当時、そうしたゲームが無かったからですね。
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────その3作目となる「単車の虎」(単虎)ですが、初期の頃からスマホに対応していましたが、当時何か考えはあったんですか?
根岸:僕らがソーシャルゲームにチャレンジし始めたのは、かなり後だったんです。先行者メリットを享受している競合他社がいたので、けっこう大変な思いをしました。
ヒットを出せたから良かったですが、かなり確率の低い中で勝負をしていました。そうしたことを見ていたので、先行者メリットを得ることは重要だなと考えていました。
当時、Google PlayやApp Storeで直接配信するというのがまだ懐疑的な世界でした。ただ、確実にこっちに行くというのは分かったので、早めに行こうということで、かなり速くからチャレンジしていました。
────たしかに当時、各社さん懐疑的でしたよね。
根岸:そうですね。
────当時はIDを登録するかしないかという問題もありました。ID周りも含め、御社はスマホ向けにシフトしてるんだなと感じました。
根岸:そうですね。課金機能をつけるくらいなら早く出したほうがいいというこで、早めにリリースしました。
────今もランキングの上位にランクインしていますが、何か秘訣はありますか?
根岸:いろいろな仕掛けが出るように工夫していることでしょうか。ユーザーに飽きずに使っていただけるゲームになっているかなと思います。
────サービスを運営していくなかで、機能の改善や追加であったり、サービスを大きくしていくにあたってのメソッドや考え方はありますか?
根岸:それはけっこうシンプルで、いわゆる「グロースハック」をやっていました。
────「グロースハック」という言葉は今はバズワードになっていますけど、それを当時からやっていたのですね。
根岸:はい。基本的にはいろいろな指標を見て、改善するための仮説を立てて、チャレンジして、結果を回収し、次の仮説を立てる、という流れですね。
バズワードだったので僕も敬遠していましたが、改めていろいろな本を読んでみると、西村が元々やっていたことだったんです。彼は昔から、結果を追えるような仕掛けをしてPDCAのサイクルを回し続けていたんですよね。
他社の方がどこかでうまくいってるから「じゃあやろう」とかではなく、地道にやってきたことなんです。
────1%の改善でも何回も重ねれば、何十%、何百%になることを体現してきていたということですね。
根岸:そうですね。
────改善部分はPDCAでできると思いますが、機能的な新しさや面白さ、数値では見えない部分はどうでしょうか?
根岸:他社のゲームを研究していたというのも大きいと思います。西村が緻密にやっているので、こういう要素とこういう要素を掛けあわせたらいいんじゃないかと、かなり考えている部分はありますよね。
単に丸パクリするわけではなく、構成する要素のポイントを見い出して、「ここがあるからうまく行っているんじゃないか」という仮説を持って、それを自社のゲームにも取り入れ、検証していく形ですね。
────その積み重ねなんですね。
根岸:そうですね。僕自身も最近、改めて「そういうことだったのか」って(笑)グロースハックという言葉が整理をしてくれた感じですね。
────話は少し戻りますが、単虎のユーザーはリアルでの繋がりが強いと耳にしました。何かエピソードを聞いたことはありますか?
根岸:ユーザー同士でツーリングに行ったり、誕生日会を開いたりしているみたいです。単虎のケーキを作ってプレゼントしたりしてるみたいです。いろいろありますね(笑)
────面白いですね。リアルの繋がりがまたネット上でも繋がって、うまく循環できてるんですね。
根岸:そうですね。ユーザーの結びつきは強いんじゃないでしょうか。困っている友達に代わって我々に問い合わせてくるユーザーもいるみたいです。
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────実際のユーザー層はどうでしょう。若いユーザーが多いのでしょうか?
根岸:メインは30代、40代の男性ですね。裾野が広がってきているので高校生のユーザーもいますが、メインは30代、40代の仕事をしてる方ですね。
────昔やんちゃしてた方が昔を懐かしみながらプレイしてる方も多いんでしょうね。
根岸:そういう方も多いと思いますね。
────ユーザーの場所はどうですか?やはり東京が一番多いですか?
根岸:場所は東京に集中しているわけではなく、全国各地ですね。
────その後にリリースした「ヱヴァンゲリヲン バトルミッション」や「Tokyo 7th シスターズ」は単虎(以下、単虎)とは少しテイストが違いますが、その目的や狙いはありましたか?
根岸:僕らとしてはジャンルは決めてなく、ビジネス的に売り上げが1.2倍、1.3倍にするというよりは、2倍、3倍にして、新しいものをどんどん出していきましょうという考え方です。
イメージとしてはアパレルブランドのようで、違うターゲットに違うプロダクトを出す、そういう感じですね。
────異なるユーザーに刺さるように、バランスを取りながら出しているんですね。
根岸:そうですね。既存の事業に囚われずゼロから考えてもらい、一定の規模で一定の期間、収益を見込めるターゲットを定め、そのターゲットに対してどういう製品を出していきたいかをプロダクト責任者が考えて進めていくことが強いですね。
────単虎のインパクトが強かったので、関連するサービスを出して行くと思っていましたが、アパレルブランドのような形でいろいろな層を取っていくということなんですね。
根岸:そうですね。
────単虎以外では、「ヱヴァンゲリヲン バトルミッション」は版権物ですが、「Tokyo 7th シスターズ」はオリジナルのキャラクターを使っています。オリジナルキャラクターを選択した意図というのはあるのでしょか?
根岸:そうですね、ターゲットが見込みやすいですし、あとはプロダクト責任者の思いが強いですね。
僕らの場合、責任者に実績があったり、信頼に足ると思った場合、思い切って任せています。Tokyo 7th シスターズに関しても、元々やりたいという人間がいて、その人間に推し進められたところがあります。ですから、できているものは僕らが想像しなかったものになってますね、レベル感的に(笑)
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────そうなんですね(笑) 責任者の熱意を重視して、ある程度自由に任せている形ですね。
根岸:はい。各プロダクトの責任者が事業を進め、経営陣がそれをサポートする形です。
新しい事業にチャレンジして起業すると経営の面も気にしなければなりませんが、事業だけをやりたいという人がプロダクト責任者をやっているところが大きいですね。
────それは分かりやすいですね。経営まで見るとけっこう大変ですからね。事業だけ考えてやるというのは、モチベーションを高めるという意味でもいいですね。
根岸:そうですね。事業に集中するには、良い環境だと思います。
────ちなみに、今はどの程度プロダクトが動いてますか?
根岸:プラットフォームを別にカウントするとゲームが12、ウェブサービスは3です。
────それぞれにプロダクト責任者がいて、「事業家」として進めているんですね。
根岸:そうですね。
────2013年のソーシャルランチの買収についてですが、何かきっかけはあったのでしょうか。
根岸:そうですね、あれは偶然というか、僕ら自身、ウェブサービスを強化したいという思いがありました。
ソーシャルランチの代表だった福山も元々知り合いで、DeNAの頃に薄く繋がりがあったんです。僕らが、起業したころ、「ドーナツランキング」というサービスがあり、女子大生にドーナツを食べてコメントをもらう手伝いをしてもらっていました。
それからしばらく全然繋がりはなかったんですが、彼が会社を起こしたということで久しぶりに会う機会があり、そのあと、ソーシャルランチを売却か出資を受けて上場を目指すかどちらかというとき、元々繋がりがあった僕らを選んでくれました。
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────そういった経緯があったんですね。MixChannelも多くのユーザーが使っていますが、ダウンロード数はどれくらいですか?
根岸:300万ダウンロードです。
────アプリを使ってみると若いユーザーが多そうですね。
根岸:はい。ユーザー層は中高生が多いですね。
────再生数で言うとどれくらいの数なんでしょうか?
根岸:月間の動画再生数は5億を超えています。「動画のアプリ」というくくりで言えば、ニコニコ動画やVineも超えて、YouTubeに次いで国内2位ですね。
────それはすごいですね。海外でも出されてるんでしょうか?
根岸:そうですね。英語版も出しています。ブラジルやメキシコでも使われています。
────完全に国境を超えていますね。では、今後も世界展開も力を入れていく予定かですか?
根岸:はい。英語版もどんどん出していますし、ゲームでも有望なものは英語化して展開していこうと思っています。
────今後、海外展開される予定のタイトルはありますか?
根岸:まだ準備段階ですけど、ウェブサービスは順次展開していく予定です。今年は積極的に出していく年になると思います。
────MixChannelのアイディアはソーシャルランチが合流した頃からあったんでしょうか?
根岸:MixChannelはある程度経ってからですね。何やろうかという話のなかで、動画はどうかっていうひとつの案でした。
────アイディアはどういったタイミングで出てくるんでしょうか。日常的な業務の中で出てくるのか、それともブレストしてアイディアを出したりしてるのでしょうか。
根岸:いろいろなタイプがありますね。代表から話をふることもありますし、企画者からの発案も有ります。ウェブサービス用に社長室、ゲームアプリ用に新規開発グループがあって、ある程度の規模になったらグループとして巣立っていくという流れです。
────社長室・新規開発グループが“インキュベーター”というか“羽化装置”になっているわけですね。
根岸:そうですね。Tokyo 7th シスターズやMixChannelは、プロダクト責任者からの発案でスタートした企画です。
────社内もリラックスできそうな雰因気ですね。
根岸:そうですね。会社の中でも気分転換しながら、仕事を進められればいいかなと思っています。
────ジムスペースはどなたの発案ですか?
根岸:代表の西村です(笑)
────立派なマシンですよね。あんな流線形のエアロバイクとかあまり見たことないですよね(笑)
根岸:僕も見たことないですよ(笑)よく見つけてきたなと思います(笑)
────体を動かすとアイディアも生まれやすいというデータもありますし、西村さんもそういう点を意識されてるのかもしれませんね。
根岸:そうですね。彼自身も積極的に運動をするほうですし、健康のためにも、集中力や精神力を束ねる意味でも、非常に有意義だと思います。
一時期、体育の時間を作ろうかという議論もありましたね(笑)すごく生産性は上がると思うんですよね。ただ、嫌な人も居ると思いますし、結局話だけで終わってしまいました(笑)
────社内も全体的にオシャレなデザインですが、何かコンセプトはあったりするのですか?
根岸:西海岸風にしたいという思いがありましたね。シリコンバレーにある会社のようなイメージですね。
────コンクリートの打ちっぱなしやガラス張りの感じは“それ”っぽい雰囲気ですよね。
根岸:ガレージ感、倉庫っぽさを出したい感じはありましたね。
────なるほど、だからコンテナがあるんですね。
会議室A「ANGEL WHIP」の下には「contena room」の文字
根岸:そうですね。ゼロから生み出すような、ベンチャーマインドを持ち続けて欲しいというところがありますね。
────外の眺めもいいし、うらやましい環境ですね。
根岸:僕個人としては、実はそういうところ無頓着なんです(笑)社員だったり、外部から来てくださる方のモチベーションが上がるといいなと思いますね。
創業時構えていた、高田馬場の最初の狭いオフィスにいた時と、感覚的にそこまで変わりはありません。ただ、天井の高さと窓の数が改善されたことは嬉しいですね。最初のオフィスは立ち上がると天井に手がつくくらいすごく低くて、閉所恐怖症なのですごくイヤでしたね。窓も1個しかなかったので、イヤでしたね(笑)
────そういう意味では、当時と比べるとだいぶ開放的になりましたね。
根岸:そうですね。だいぶ開放的になりました(笑)ガラス張りなので、なるべくオープンな印象を持ってもらいたいと思ってます。
────シリコンバレーでも何事もオープンにする文化がありますからね。極端な例だと、社員の給料まで公開してい会社もあるみたいですしね(笑) そういった開放感は大事ですね。
根岸:そうですね(笑)そういった開放的な環境でいろいろなものを生み出してもらえたらなと思いますね。
────現在、積極的に人材を採用しているみたいですが、リリースを予定している本数や情報はありますか?
根岸:ゲームについては3本出す予定です。ウェブサービスについては今のところ予定はないですが、新しく人が入ってきて「これをやりたい」というものがあれば、増える可能性はありますね。
今は資金も成長意欲もあるけど、人だけが足りない状態です。先ほども話しましたが、会社の経営に関しては得意不得意もあるので、事業にチャレンジしたい方には僕らにフィットすると思います。
────経営部分は繁雑な部分が多いですし、事業に絞りたいという方にはうってつけの環境ですね。
根岸:そうですね。お互いにノウハウを提供しあったり、高め合っていくことは刺激になりますし、実際にビジネスでヒットを出しているところも、ノウハウは得られると思います。
その辺りは代表の西村も積極的にアドバイスして、ある程度任せられるところまで行ったら、「え、ここまで任せてもらえるの?」というくらい自由にできますしね。
僕らの場合、一人ひとりに業務範囲が広めになっています。それにはいろいろな理由があって、やはり人が成長していくために必要であると考えているからです。創意工夫をし、お互い助け合うことでチームの一体感も出てきます。そういうところを重視しています。
────人材の募集で「長高学歴」という面白い募集をしていますよね。あれはどういうことですか?
根岸:僕らの新卒採用の基準が、「超優秀な人」か「後(あと)がない人」なんですよね。「長高学歴」っていうのは「後がない人材」のことを言っています。
成果を出せる人というのは、自分に自信があってどんなことでもやれると思っているタイプか、もう後がなく、目の前のことを100%120%でやらなければ前へ進めないというタイプの2種類だと思います。
そのどっちかであるということが経験的に分かってきたので、その2タイプだけを採用しています。
────なかなか面白い採用の打ち出し方ですね。
根岸:そうですね。変わった経歴の方を見ると、面白いなと思いますね。ある程度年齢がいってしまってうまく成果を出せてない人は別ですが、学生においては、地頭が良ければ採用することもありますね。
社内には色んなタイプの人間がいます。元県庁職員で働いていたり、社内でも営業からゲームプランナーに異動したり。その人がどう活躍できるか、考えてチーム配属をしてます。
────社内でのデザイナーやエンジニア、ディレクターの割合はどんな感じですか?
根岸:だいたい同じです。全社の8割がクリエイター系(デザイナー、企画、エンジニア)で、内訳はそれぞれ3分の1くらいずつです。残りの2割は総務や営業とかですね。
────営業担当の方もいらっしゃるんですね。
根岸:はい。JOBCANがまさに法人営業です。昨年は社員6,000名の会社に導入されたり、地味に伸びてるんです。最近、オープンしたブルーボトルコーヒーさんにも入れていただいています。
僕らの強みはそういうところで、ベースのキャッシュがあるという点に加えて、ウェブサービスも2つの観点でやっています。1つは、元々そういうことをやりたかったというのもあるんですけど、ウェブサービスって積み上げ型じゃないですか。ゲームと比べても簡単には落ちていかないですよね。
to Bの勤怠管理システムのサービス(JOBCAN)、to CのMixChannelやハウコレというサービスがあって、それぞれが今後より伸びてくる見込みがあり、ゲーム事業もそれぞれで利益を出している多重構造の状態です。その上で、新しいことにチャレンジしていこうとしています。
今年は積極的に出資もしていこうと思っていますし、新しいビジネスも展開していきたいと思っています。数千万の投資でも即座に決裁が完了するので、そういうスピード感で進むのも面白いですね。
一方で、半年間ゲームに課金機能をつけないで出すとか、そういうジャッジも柔軟にできます。
────半年間、課金なしっていうのはすごいですね。
根岸:普通はないですよね。
そういうところが僕らの強みですね。ユーザーにとってどういうことがいいのか、突き詰められる環境かなと思います。
────サービスなりプロダクトなり、PDCAを回し、収益を立てて多重構造にしているんですね。
根岸:そうですね。僕らとしてもようやくいろいろな準備が整ってきて、さらなるチャレンジをしていきたいと思っています。
僕も西村も現状に全然満足はしていないので、さらに多くのユーザーに使ってもらえるようなプロダクトを生み出したいと思いますね。ただ、そのための人材が、まだまだ足りないんです(笑)
────最後に、Donutsのユーザーさんやオクトバ読者に向けて一言お願いします。
根岸:ユーザーの皆さんはいつも遊んでいただいてありがとうございます。使い続けてくださることは本当に嬉しい事で、現場のメンバーも喜んでいます。それをまた糧にして新しいものを生み出そうとしているところです。これからもご愛顧のほどよろしくお願いします。
オクトバ読者の皆さん、僕らDonutsという会社は変わった会社なんですけど、一般的にはあまり知られていなくて(笑)、知られていても「単車の虎のDonuts」で、あとはよく分からないっていう会社だと思います(笑)
よくよく見てみると、ユニークで面白いメンバーが集まった会社なので、興味を持ってもらえると有り難いなと思います。公式Twitterでも会社の状況をお伝えしていますので、チェックしてみてくださいね。
────本日はありがとうございました!
失敗しても成功しても、何が要因であったのかを分析し次へと活かす。仕事はもちろん、何においても当てはまることですが、それを重ねたうえで現在のDonutsがあるということなんですね。
さて、インタビュー中にも出てきましたが、現在Donutsでは一緒に働く仲間を募集しています。「アイディアはあるけど、どう形にすればいいのか分からない」「クリエイティブなものを作りたい」という方、一度採用情報をチェックしてみてはいかがでしょうか。既に働いている社員の方のインタビューもたくさんあり、きっと参考になるはずです!
・株式会社Donuts 採用情報
・株式会社Donuts(公式サイト)
・公式Twitterアカウント(@DonutsCoLtd)