男性アイドル養成学校「私立夢ノ咲学院」を舞台に、30人ものイケメンたちと様々なストーリーを繰り広げる女性向けアイドル育成ゲーム『あんさんぶるスターズ!』。
事前登録の段階で既に注目を集め、リリース後も僅か1か月半ほどで50万DLを達成するなど、ユーザー数をメキメキと伸ばしています。
今回そんな『あんさんぶるスターズ!』を手がけるHappy Elements株式会社にお邪魔し、イケメンプランナーのアレックスさんにインタビューを行いました!
『あんさんぶるスターズ!』の開発裏話やゲーム、そしてユーザーへの想いなど盛りだくさんの内容になっていますよ。
アレックスさん。爽やかな笑顔が素敵。
――本日はよろしくお願いします。まず、アレックスさんのご担当されている内容についてお聞かせいただきたいのですが。
アレックス:私は主にアプリの中の企画/バランス調整などを行っていまして、キャラクターデザインやシナリオは別の方に任せています。
――もともとはアレックスさんご自身だけで企画を考えていたんですか?
アレックス:このアプリを作ったきっかけは、社内の女性陣と話しているときに、カードを集めて育成してというジャンルのゲームで女性向けのものがあまりないので、ぜひうちでも作りたいという声があがって、それで開発を始めました。
『あんさんぶるガールズ!』はイラストレーターがほとんど女性で、普段、女の子のキャラクターばかり描いているんですが、本当は男のキャラも描きたいみたいなんです(笑)。
そういう需要が社内にはずっとあって、いよいよという感じで始まりました。
――じゃあイラストレーターさんたちの切なる願いとかがあった訳ですね。
アレックス:そうですね。もちろん考えて頑張りはしたんですけど、乙女心は分からないものだなという気持ちもありつつ、みんなが納得いく形になるように気を付けていました。
――イラストレーターさんは基本的に女性の方が多いですよね。
アレックス:特に『あんさんぶるスターズ!』だと女性の割合高いです。
――じゃあ女性のイラストレーターさんから「私の好みのキャラクターを作りたい」みたいな話も?
アレックス:それに関してはキャラクターが30人いて個性の振り幅が広いので、これくらいのラインナップがあればどの方でも好きなキャラクターが何人かいるだろうというのを目指して設定を進めていました。
――キャラクターもそうですけど、ユニットも組んでるじゃないですか。あれはなるべく対象がずれるように計算して作っている感じなんですか?
アレックス:そうですね。被ってしまうとあまりよろしくないので、なるべく色んなジャンルをカバーできるようにしています。
――ちなみに今人気のユニットやキャラクターは?
アレックス:主人公に近い立場でいる「Trickstar」というユニットと、あとは「UNDEAD」というハードロック系ユニットの人気もリリースからかなり上がっています。「UNDEAD」に関してはビジュアルはもちろん、ストーリーを読んでいる中でキャラクターを好きになった方もとても多いと感じています。
――「Trickstar」はメインのユニットみたいなイメージで分かりやすいですけど、「UNDEAD」が人気だったというのは意外だった感じですか?
アレックス:正直どのユニットが1位になってもおかしくないなとは思っていたんですけど、ストーリー序盤の方でも「Trickstar」との絡みが多いユニットなので、よりキャラクターたちのことを良く知る機会は多かったのかなと思います。
あと、リリース前からWebラジオもやっているので、その影響もあると思います。
――Webラジオは担当している声優さんが出ていらっしゃるということですよね?
アレックス:そうですね。
――Webラジオ自体はどのくらいやっていらっしゃるんですか?
アレックス:リリースの1ヵ月前ぐらいから始めていて、月2回の放送を続けていたので、最近で6回目くらいだったと思います。
――実際、反響もある感じなんですか?
アレックス:そうですね。Twitterとか見ていると色々反応しているユーザーさんもたくさん見かけますので、いい形で出せて良かったと思います。
人気ユニット「UNDEAD」
テーブルサッカーで遊んでいる姿も絵になる
――せっかくなのでアレックスさんのご経歴を。
アレックス:分かりました。アメリカ育ちで出身はスタンフォード大学。卒業後1年はアメリカで就職はしたんですが、その仕事を辞めて日本に引っ越したいなと思い転職活動を始めたところ、ちょうどHappy Elementsが日本法人を設立しようとしているタイミングでお話ができて、日本法人の社員として雇っていただきました。
――ちなみに日本に来られようと思ったキッカケは?
アレックス:私はハーフなので日本に親戚がいて、良く夏休みに遊びに行っていて日本のこと自体はとても好きだったんです。ちょうど仕事を新しく探すタイミングになったので、こういうキッカケってなかなかないだろうし、思い切って日本にここで行ってみようという決断ができました。
――他に日本で働きたいなと思ったポイントとかってありますか?
アレックス:日本のサービスは、他の国と比べてとても独特だと感じていました。携帯電話のガラパゴス化もそうですけど、どんどん生きて成長していく日本独自の文化の中に頭から突っ込んで学んで、そこで面白い日本の商品を作ってみるのは興味がありましたし、やりがいのある仕事だと感じていました。
――外国の方にインタビューをしたときに、日本の昔のゲームが好きだったとかアニメが好きだったとか、日本の文化が好きでいらっしゃると良く聞くのですが、アレックスさん自身はどうなんでしょう?
アレックス:私もその通りで、アメリカに住んでいながら日本語を話せるようにしたいという両親の気持ちがありまして、子どもの頃から遊ぶゲームとか読むマンガとかはほとんど日本語のものでした。なので、どちらかというとアメリカの文化よりも日本の文化に詳しいっていう面もあったかもしれないぐらいでした。
アレックス:それと、日本の二次元という文化は他の国と比べてもだいぶ大きい文化として成り立っていて、こういうアプリを出したときの他メディアへの展開の可能性は本当に世界特有で、1つの商品が世の中に与える反響の大きさは凄いなと思っています。
――もともとゲームだったものがアニメになって映画になって、その先が普通の玩具になったりとかっていう流れが日本だと大きいと。
アレックス:そうですね。
――ちなみに、これはゆくゆくの話だとは思うんですけど、『あんさんぶるスターズ!』でもそういったことを検討されたりとかしていますか?
アレックス:先日、告知をしたのが『あんさんぶるスターズ!』のコミカライズ化とそれぞれのユニットのイメージソングのCD化です。それ以外も企画を進めています。
――音楽CDまでいったら、もう次はライブじゃないですか。
アレックス:やりたいですね。
――ライブは凄いですよね。御社のタイトルも必ず盛り上がるはずなので楽しみですね。
アレックス:色々できると嬉しいです。
公式サイトより
――男性が女性向けのゲーム作るって単純に凄いと思うんですよ。
アレックス:でも、今までの女性向けのゲームって恋愛するノベルゲームっていうのが多かったと思うのですが、『あんさんぶるスターズ!』ではそこまで振り切りたくないという気持ちがありまして。社内の女性陣の中にも別に恋愛したい訳じゃないとか、ここまでこってりしたイケメンは苦手かもという人が結構いたので、もう少しカジュアルでより広い層に届くようなゲームを作りたいという思いがありました。
――もうちょっと”男性より”じゃないですけど、普通の人として面白いと思えるものを求めているはずだっていうことですよね。
アレックス:これまでの女性向けゲームってもちろん人気のあるタイトルもあるんでが、中間にいるような人たちが取り残されているんじゃないかと。
アレックス:ただ、社内で企画を発表したときにも、これまで似たようなゲームがなかったので、本当にこれで上手くいくのかっていう証拠がなく、そこはもちろん指摘されました。
けれどアプリを出す前の事前登録の段階で凄く反響があり、登録してくれる人数も想像をはるかに超えるような規模になったので、ほら見ろと(笑)。でも、だいぶ博打ではあったと思います。
――市場はないけど存在はするはずだと。
アレックス:逆に事前登録での反響が良くて、後は実際にゲームを手に取ってもらうだけってときに、そこでこけたら責任は完全に僕個人になりますよね(笑)。それもとても怖くて。
いざゲームリリースした後にTwitterとか検索していると、面白いと言ってくれる人が予想以上にたくさんいまして、本当に嬉しくて、プレイしてくれている方に感謝しています。
――結局、どんな女性でもやってもらえるゲーム性にしようとしたら、シンプルな形になったっていうことですよね。
アレックス : 実はリリースギリギリくらいでちょっと仕様が変わりました。もっとシンプルな形だったんですが、これでは普遍的なものとして見てもシンプル過ぎると(笑)。
男性向けのゲームを見ながら、もう少しシミュレーション要素入れたいよねってことで、今から仕様変更するの?ぐらいのタイミングで仕様を変えたんです。
たくさんの意見を集めて絞って根本的な面白さを出してから、要素を付け足したりというプロセスが、ギリギリまでかかってしまいました。
――簡単に言われてますけど、えらい大変だったと(笑)。
アレックス : そうですね。ただ、ゲームを良くするためであれば、ギリギリでも仕様変更する方針なんです。
――そうなんですね。育成も、育てるっていう部分に複雑性を加えて面白くしたっていうことですよね。
アレックス:そうですね。アイドルロードという機能も、何回も作り直しました。1番最後に調整がしたのがプロデュースの部分です。
例えば場所を4つの中から選ぶんですが、選んだ場所によってどういった要素に違いをもたせて、どの程度変化をもたらすかという部分がかなり難しかったです。
――確かにあれはちょっとやっただけでは何が有利なのかっていうのは分からないですよね。育て方のところに戦略性というか、考えてやらないといけないみたいな部分はあるなと思いますね。
アレックス:深く考えずにプレイしても特に損はしないけど、いろいろと考えながらやるとより良い結果がでるようなバランスにしています。
プロデュース実習
キャラ同士の絡み
――シナリオについてお伺いしたいんですけれど、『あんさんぶるガールズ!』と同じシナリオライターさんですよね。シナリオを読んでいると、結構ライトで面白い演出になっていると感じたんですが、それはある程度狙っているのでしょうか。
アレックス:そうですね。『あんさんぶるガールズ!』から日日日先生とやらせていただいて、反響が良かったので次もぜひっていう気持ちがありました。先ほどの話に出ましたように、あまり女性向けの恋愛ストーリーに振り切りすぎたくないというところで、少女マンガよりは少年マンガ寄りなノリで書いていただくとバランスが良いのではと。
“自分とイケメン”ではなくてキャラクター同士の絡み・関係性・友情は『あんさんぶるガールズ!』からも意識して書いていただいてたので、そういう面でもとても合っていると感じました。
――コントが行われているような感じのノリですよね。
アレックス:若干漫才入りますよね(笑)。
――他の恋愛シミュレーション系ゲームだと笑える要素があまりないので、そこは結構面白いなと思いました。
アレックス:あと、日日日先生以外にもう1人ライターがいまして、その方が書いてくれるシナリオは若干ですけど女性向けなテイストで感情面が出てきているので、それもまたバランスが良いと思っています。
――各々キャラ設定もしっかりされているじゃないですか。1番最初に出てくるキャラクターがお金大好きってなかなか斬新だなと思いました。
アレックス:キャラクターデザインもまず社内でビジュアルを作成して、簡単なキャラ設定は用意しますが、プロフィールを日日日先生に送って、細かいキャラ設定は話を書いていく中でお願いしています。
それがストーリーとして戻ってきて、良い意味で、え、この子ってこうなったんだっていうのもあったりします。
ビジュアルがトップクラスの子が気付いたらおネエだったんです(笑)。結構どよめきはありました。まぁこういうのも良いよねって最終的には落ち着きました。
――何といっても声優さんの起用がこのアプリの中でも重要なポイントの1つだと思うんですけど、その起用の仕方も考えられたんですか?
アレックス:いえ。分かる人に任せようっていうのがチームの方針の1つではありますので、キャラクターデザインを主に担当しているクリエイティブプロデューサーの方を中心に提案を出していただいて進めました。
――音声データがたくさんあるとダウンロードの遅さが気になる場合が多いんですけど、御社の場合はそこが全然気にならなかったんですよね。何か工夫されたりとかしているんですか?
アレックス:そうですね…何かしているのかな(笑)。そこまで特別なことしてないと思います。
――あと、キャラクターの動きもLive2Dを使われているということで。
アレックス:それが開発の中で1番苦労した部分かもしれないですね。頭身の高いキャラをそのままLive2Dで動かすと、腕の動きとかが結構目立つようになるので、どこまで動かすのかっていう判断がかなり重要になります。
アプリを遊んでいる中でここにそのキャラクターが実在するように感じて欲しいという思いがあって、動きを自然に・没入感が出るようにこだわりを持って作っていきました。
――それを30体分となると、かなり大変だったのかなと思います。
アレックス:体型が似ているキャラクター同士は共通のパーツがあったりしますが、髪型はそれぞれ別に作らないといけませんでしたし、めっちゃ髪が長い日々樹 渉とかとかはみんなひいひい言ってました(笑)。
――キャラクターが動いて、複数体いて、話が掛け合いになるので、男性から見ても”掛け合い漫才”のアニメーションを見ているような雰囲気を感じました。
アレックス:そうなんです。実は男性でもけっこう楽しめるんですよ。主人公が女子なので、主人公が女子じゃなかったら男子でもできるのにと何人かから苦情的なものも出ています(笑)。
――男性ユーザーさんもいらっしゃるんですか?
アレックス:1割ぐらいですね。でも、逆に1割もいるんです。まぁまぁ多い気はします。
――今後『あんさんぶるスターズ!』がどういった展開をしていくのか、教えていただける範囲で教えてください。
アレックス:よりキャラクターを深く知る機会を作ったり、見たことのない組み合わせの絡みを作っていったりと世界観を楽しんでいただけるような展開は予定していまして、ゲームプレイ面でも今は1人で遊ぶようになっていますが、もう少し他のプレイヤーとの交流が増える要素も増やしていきたいとお乗っています。
――最後にオクトバの読者へひと言お願いします!
アレックス:『あんさんぶるスターズ!』は本当にキャラクターありきのゲームだと思っていて、この世界このキャラクターたちをユーザーさんに提供したいというのが運営側としての1番の思いですので、これからも新しいストーリをどんどん読んでいただいて、みんなのことをもっと知ってもっと好きになってくれると、とても嬉しいです。
――本日はありがとうございました!
男性でも女性でも”面白い”と思うものは同じ、というところにゲーム作りに対するアツい情熱を感じました。そしてイケメンゲームの中の人もイケメンという期待を裏切らない感じ、素晴らしいです(笑)。
男性ユーザーが1割いるという話が出ていましたが、私もその中の1人。キャラ同士の絡みが面白く、ゲームのシステムもシンプル過ぎず難し過ぎずで丁度良いのでついついやり込んでしまいます。
ゲームはもちろんのこと、コミック化やCD化など、今後の『あんさんぶるスターズ!』の展開に期待できそうです!
・2015年春始動 あんさんぶるスターズ!
・【広報】あんさんぶるスターズ!(@ensemble_stars)さん | Twitter
・あんさんぶるスターズ! : 舞台はアイドル養成学校!お気に入りの男子生徒を自分好みにプロデュースしよう! | オクトバ