アンドロイドの論点: 2012年のアンドロイド搭載スマートフォンのトレンドについて考える

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皆様お久しぶりです。gamellaです。

今回のアンドロイドの論点はラスベガスで行われた世界最大の家電の展示会CES2012のニュースなどを眺めつつ感じた、2012年のAndroid搭載スマートフォンのトレンドについて考えてみたいと思います。

Googleのアンドロイドの開発方針の変更がいよいよ大きな影響を与え始めてきた

CES2012では、いろいろなアンドロイド搭載端末がお披露目されましたが、多くの端末が最新のAndroid 4.0系列ではなく、Android 2.3系列を搭載してきました。
例えば、CES2012でお披露目され、先日のauの冬モデルで発表された2月発売予定のXperia acro HDも搭載されているのはAndroid 2.3となっています。

すでに米国で発売され、多くの話題となっているAmazonのAndroid搭載タブレットKindle Fireも現状は2.3系列をベースにしており、すでにAndroid 4.0のソースコード自体はGoogleから公開されているものの、各社2.Xの時代ほど最新のアンドロイドを搭載することに力を割いていないように見えます。
もちろんある程度時間が経てば、端末は4.Xにシフトしていくとは思いますが、今までと比較すると各社2、3ヶ月遅れてもいいと考えている様子です。
2012年のアンドロイド搭載スマートフォンの動向について考えるにあたり、まずはこの部分を掘り下げたいと思います。

アンドロイドはガチガチにアプリが利用できる機能を縛ってスタートしたiOSに対抗するため、アプリが何でもできることを開発方針の売りにしています。
この点に関しては前回のアンドロイドの論点で述べました。

例えばホーム画面自体をまるごと切り替え可能な機能、アプリにとって必要がないと思われるデータでもインストール時にアクセス許可を出せば、アプリがデータを取得できてしまう(マニュフェストと呼ばれる)機能など、iOSではアプリができないことがアンドロイドではあっさりできてしまいます。
たた、現状のiOSとアンドロイドの基本的な方針の変化の傾向を考えると、

  • ガチガチだったiOSであったが、バックグラウンドでの動作、ノーティフィケーションなどアプリにできることを増やし始めてる
  • なんでもできるアンドロイドだったが、だんだんアプリや開発ベンダーにできることを制限しはじめている

という動きが見て取れます。
特にAndroid 4.0で採用されたホーム画面の仕様変更により、端末のホーム画面をユーザーは常に出荷時に企業がカスタマイズしたものから、Google標準のものに変更できるようになりました。
企業はデバイスの開発をハードウェアの設計、部品の調達を含めて数年単位で計画しますから、もともとゆるい状態からきつくなるというアンドロイドの方針の変化の方向が、将来的に企業の戦略と合致しなくなる可能性があります。

ただ、Googleも企業をいじめるために方針を変更しているわけではなく、現状のアンドロイドのセキュリティに関する事件やそこから生じた懸念などを考慮し安心してアンドロイドを一般ユーザーにも利用してもらえるようにしたいという狙いがあるわけで、変化の方向性としては当然のことでしょう。
このあたりの齟齬が、全体的に企業がアンドロイドの最新版を追うモチベーションを下げ、Googleから最新版のソースコードの提供を受けることができるTier1への対応の変化となり、結果的にデバイス開発の方向性にも長期的には影響を与えてくるのだろうと思います。

アンドロイドに対するセキュリティ懸念に対してどのような対応を行うか

通信キャリア、Google、アンドロイド搭載スマートフォン開発企業などのアンドロイド関係者にとって今一番頭の痛い問題は2011年に問題となったセキュリティ問題でしょう。
特に行動ターゲットと呼ばれるユーザーの行動を逐次報告するスパイウェア的な挙動をするアプリの存在が問題となりました。

もし、個人情報にひもづけられて位置情報まで送られていたらと想像したら、この問題がいかに大きなプライバシーリスクを持っているかわかるでしょう。
企業にとっても、スパイウェア的な動作をするアプリケーションを無制限に作成可能なプラットフォームをわざわざビジネスユースには利用したくないと考え始めています。
この問題に対して、どのような回答を行うかが2012年のアンドロイド関係者にとって、大きな課題となっています。

この問題の解決は二つの方向性があります。
アプリが取得可能なユーザーの情報をアンドロイドがOSとして制限するか、キャリアがアンドロイドにインストール可能なアプリをセキュリティリスクがないものに制限するかのどちらかです。
しかし、このどちらも実行した瞬間iOSに対するアンドロイドの大きな自由というアドバンテージを奪うことになるので、ビジネス的なインパクトは大きく、結局なにも根本的な対策を行うことはできないまま、自分の身を守りたいなら、自分で信用できるアプリを選ぶしかないという状態は2012年も続くのでないかと思います。

2012年に売れるスマートフォンが抑えるべきポイント

さて、上記なども踏まえ、アンドロイド搭載のスマートフォンにとって2012年に重要になってくることを考えてみました。前回のアンドロイドの論点でも触れましたが、以下のポイントがますます重要になってくるように思います。

  • Googleが推奨する標準仕様を可能な限り追従する
  • 他社との差別化ポイントをソフトウェアからハードウェア的なローカライズ部分やデザインにシフトする

まず「Googleが推奨する標準仕様を可能な限り追従する」ですが、特に日本で発売しているアンドロイド搭載端末はスペックはアップしているものの、内蔵ストレージのサイズがGalaxyやHTCの端末と比較して不足していたり、たぶん日本では不要と考えて仕様を削ったと思われるポイントが見られます。
もちろんこのようなスペックの削減は価格を下げるためでもあるので、ユーザーにとってもデメリットだけではないのですが、長期的に見てGoogle推奨仕様のスマートフォン(現在だとGALAXY NEXUS)に追従しているスペックのスマートフォンを購入した方がユーザーにとっては利便性が高いでしょう。
スマートフォンは一度買ったら2年は使うものですが、Googleの標準仕様とかけ離れているためにアンドロイドの最新版にアップデートできなかったり、いろいろ利用用途に制限が出てくる可能性があります。
また、上述した現状のGoogleのアンドロイドの開発方針の変化の方向性を考えると、奇をてらわず標準仕様を採用したほうが後々よいということもあります。

「他社との差別化ポイントをソフトウェアからハードウェア的なローカライズ部分やデザインにシフトする」はそのままの意味で、グローバルな標準仕様の端末でありながらその地域独自の要望を抑えたハードウェアスペックを提供できることがさらに重要になってくるということです。
Xperia acroが、Xperia arcというグローバル端末に対して、おサイフケータイを搭載して成功した様に、過去のガラケーではほぼ標準の機能となっていた防水、高画質カメラ、ワンセグの機能などをグローバルでも勝負できる端末にどのように素早く搭載して日本で展開できるか、というのがポイントになってくると思います。
Xperia acro HDはまさにこのポイントをしっかり抑えており、前評判も非常に高くなっています。
ここでハードウェアをポイントにしたのは、Android 4.0ではソフトウェア的に差別化を図ることがますます難しくなってくることはまちがいないからです。
差別化ポイントはハードウェアにして、基本スペックはGoogleの推奨仕様に追従するのが正しい進化の方向性だと思います。
もしくは女性用、高齢者用に思い切ったカスタマイズを行うか、です。

まとめ

2012年のアンドロイド搭載スマートフォンのトレンドについてを考えてみました。
今年もおもしろいスマートフォンがたくさんリリースされてアンドロイドが盛り上げってくれれば楽しいなーと考えています。






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